CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

世の中はそれほど3次元CADが巧く使えていないのか!


   14年前に、本HPに掲載した“3次元CAD導入推進のノウハウ”や
   ”3次元CAD活用における導入検討・活用体制・注意事項 ”に、相変わらず
   頻繁にアクセスがあるのだが



本ホームぺージのアクセスランキングトップは、何と言っても2002年9月27日に掲載した「フロントローディング設計のススメ」だ。多い日には、今でも100件を超えるアクセスがある。その他2002年5月10日掲載の「設計思考展開;DPD(Design Process Deployment) (その1)」や、2008年8月1日掲載の「フロントローディング設計の極意を教えてください」が、アクセスランキングトップ3である。世の中の人々(製造業の設計部署を受け持つ方々)が、如何に自分たちの設計業務の質と効率を、上げようと腐心しているかが、このデータから垣間見れる。

一方このアクセスランキングのトップ10に、何と1997年10月15日に掲載した、「3次元CAD導入推進のノウハウ」「3次元CAD活用における導入検討・活用体制・注意事項」 に、相変わらず頻繁なアクセスがある。私の感覚では、3次元CADを導入すべき製造業は、既にその導入をとっくに済ませ、それぞれ苦労はしても、せめて投資した金額に見合う効果を、上げているという認識である。

現に私の手がけたところでは、3次元CADが主役ではなかったが、画期的な設計品質の向上や開発期間の短縮、量産出荷後のクレーム費大幅削減などを実現してきた。

しかし、14年前の3次元CAD黎明期における、私のコメントに頼ってくる人々が、余りにも多いと言うことは、私の知らない世界では、3次元CADが、必ずしも巧く活用できていない事実がある、と言うことなのだろうか。販社などに言わせれば、何処でも巧く使えていると言うことだが、実態はどうも異なるらしい。

確かに、これまで私と付き合いが無く、初めて“現状診断”などを依頼された製造業には、3次元CADが、はっきり言ってお荷物になっていたところも、少なからずあった。だから彼らは、私に助けを求め、その閉塞状態の打破を目論んだわけだ。そして概ねのところは、その目論見を成功させている。しかしこのような取組みのピークは、10年ほど前のことであり、現在では殆どこのようなケースにお目に掛かることはない。

だが一方では、本ホームページで度々紹介をしているが、3次元CADへの取組みが巧く行っておらず、先々週2010年6月25日2008年9月12日などに掲載した例のように、私に助けを求めてくるケースが少なくない。

極めつけは、巧く行かなかった怒りを、全く預かり知らない私にぶつけてくる、2010年7月9日2009年11月20日2008年5月23日などのケースがあり、実態は未だに巧く行っていないところが、少なくないと言う私の認識だ。しかも始末の悪いことに、それらは潜在化してしまっている。

恐らく私が知る、多くの我が国サラリーマンが持つ習性や、それぞれの製造業が相変わらず問題点として抱える、単年度主義の評価制度が、これらの問題の顕在化を抑え、いつの間にか3次元CADは何処でも巧く使えていると言う、誤った概念を作ってしまい、ことさら「我が社では巧く行っていない!」と、声を上げることができない閉塞状況を、生み出しているのではないだろうか。

そして、大幅な軌道修正を行なえるわけでもなく、抜本的な対策を打てるわけでもない、混沌とした状態で、藁をも縋る思いで上記ページを覗いていると言う顛末ではないだろうか。

ではこれからどうすれば良いかだが、本ホームページを覗いているだけでは、話は進むまい。積極的に、これまで自分たちが行った取組みの、何が拙く、なぜ巧く行っていないかを明確にして、仕切直しを行って行くしか取るべき道は無いだろう。

だが、具体的に仕切直しを、どのように進めるかと考えたとき、3次元CAD難民諸氏は、恐らく大きな戸惑いを抱くだろう。これまで頼りにしてきた販社に、今更聞けないだろうし、そもそも3次元CAD難民諸氏が、現在の体たらくに陥った原因には、CADを販売した販社の責任が大きくある。

なぜなら、3次元CADのような扱いの難しい商品の場合には、販社は、ただ道具を売るだけでなく、その道具を、顧客に巧く使って貰い、最低でもその投資した対価に見合うだけのメリットを、享受して貰えるまでの支援を行う義務がある。この義務を、疎かにした故に生じた3次元CAD難民達なのだからだ。

そこで本稿では、このようなさまよえる3次元CAD難民達のために、一つ良い道標を示す。話はある意味簡単で、これまで自分たちが行ってきた取組みの目的が何で、なぜその目的を掲げ、どのような目論見でその目的を実現しようとしてきたかを、時系列的且つ論理的に紐解いてみると良い。

恐らく目的が明確でなかったり(最悪は、3次元CADを導入することが、目的になっていたり)、目的を導く過程に飛躍があり、論理的に成り立たないことを行おうとしていたり、筋道を蔑ろにした、思い付き的な取組みを行っていたりした過去などが、必ず暴かれてくるはずだ。

本ホームページには、難民諸君が、過去の検証を行おうとするにあたり、参考にできる情報を、満載してある。これらを参考に、自分たちが過去行った取組みを、とことん総括し、何が拙かったのかを明確にして、その上で本ホームページの情報を、参考にして軌道修正を行ったらよい。

当然私に依頼頂ければ、可能な限り最短で的確な軌道修正をご指導申し上げる。しかし、私に軌道修正を委ねた場合には、必ずしも三次元CADが主役になるとは限らない。依頼頂いた先の、設計業務、製品開発業務が、最適(最高品質&最大効率で)に遂行できる態勢へと変革することを、その最大の目的とするからだ。

このため3次元CAD活用などは、あくまでも従属的な位置づけにしか過ぎず、主たる目的を実現するための、“たかが道具”と言う位置づけで、取組みにあたる。しかし結果としては、3次元CADが有効活用できた、と言う収束は見るが。