先生には、もう15、6年前になると思いますが、弊社までご足労頂き、3次元CAD導入に際しての取組方や注意事項などに関してのご講演を賜って以来、すっかりご無沙汰させて頂いております。
あの後、**を中心に様々な可能性を模索させ、5年あまりの検討・検証期間を経て、10年前より本格的に3次元CADの導入に取り組んで参りました。
現在では、どうしても3次元になじめない4、50歳代のベテラン設計者を除き、殆どの設計作業が3次元で行われるようになっております。また、当初危惧しておりました継続部品も、現時点で生きている物に関しては、ほぼ100%3次元データ化が実現できました。
一方3次元CAD導入と並行して、従来BOMシステムの見直しとPDM、ERPの導入もほぼ目処を付けたところです。
このような状況下で本年度より@@が技術本部長となり、過去10年に遡ってのIT化投資の総決算(総括)を要求されております。@@は恐らく先生もご記憶に残っておられると思いますが、先生のご講演の際、懐疑的な立ち位置で様々な質問を連発しておりました、当時の設計第3部の部長です。
先生にご後援頂く1年ほど前から、IT化を推進してきた私が言うのも無責任な話ですが、@@から総括を求められる以前から、膨大なIT化投資に対しての成果という面で、私自身何か消化不良のような、すっきりしない思いを何年も続けており、@@からの要求に後押しをされる形で、あれ以降先生のご商売に全く貢献すること無く、ご無沙汰して参りました不躾を顧みずお問い合わせをさせて頂いた次第です。
本年度中には段取りを付け、先生のホームページで紹介されておられます、“現状診断”をお願いし、これまでの取組で何が悪かったのかを明確にしようと思っております。しかし、10年以上膨大なIT投資を続けてきた私の立場上、@@に対して何も答申することなく、「先生の診断を仰ぎましょう」と安易に申すこともできません。
そこで先生にお願いですが、@@に対して、先生の現状診断を受診することを納得させるために、以下の情報のご提供をお願いできませんでしょうか。
@ 先生がこれまで手がけてこらた製造業で弊社のような状況に陥っている所に共通する問題点は何か?
A 添付致しました一連の資料から判断頂き現時点で先生がお感じになられる弊社のこれまでの取組の問題点は何か?
B 弊社と同業種若しくは類似業種の製造業で、弊社のような状況から大幅に状況改善を図れたケースがあるか
(先生が手がけられた所で)?
以下に記します私のコメントが、@@さんを説得する情報として用いることができるかは、甚だ疑問がありますが忌憚のない意見を述べさせて頂きます。
回答1過去10年間に渡る実行計画とその総括を拝読するかぎり、“上辺だけの文言が踊っている、単年度で手前みその成果をでっち上げている”、間違いなく失敗への道筋をまっしぐらのパターンだと感じます。
その初期段階での3次元CADの導入の目的と期待効果の部分に、「設計の品質向上・開発期間の短縮を、3次元CADを用いることで実現する」とありますが、具体的にターゲットにすべき対策対象が挙げられておりません。それ以降の各年度における実行計画でも同様です。
各年度毎の実行計画に、それぞれターゲットにすべき対策対象が具体的に列記され、その総括では、各が定量的にどれだけの改善がなされていたかがしっかり総括されているべきです。
3次元CADはあくまでも道具に過ぎません。「設計の品質向上・開発期間の短縮」などを実現するためには、それぞれを妨げている問題点や障害を明確に把握して、一歩一歩それらを潰しコンで行くしかありません。
にも関わらず、¥¥さん達の取組には、その肝心の部分が抜けているように思えてなりません。15年前にお話しさせて頂いた私の話の中でも、このあたりの注意事項をしつこく喋ったはずですが、お聞き覚え頂けなかったようですね。
回答2回答1でもふれましたが、3次元CAD導入を目的にしてしまっているケースが最も多かったと記憶しております。中期計画や実行計画などでは様々な能書きを打ち挙げていても。その取組自体が道具の導入と使わせる事に結果として専念してしまっているパターンです。
3次元CADはあくまでも道具、たかが道具にしか過ぎません。「設計の品質向上・開発期間の短縮、設計の生産性向上」には、設計技術の向上や問題を起こさない、先送りしない仕組み作りが必須です。これらを疎かにした取組でまともな成果が得られるはずがありません。
雑誌などには、それでも成果が得られたような事例が載っておりますが、これらは推進者が自己アピールを行うためにでっちあげた眉唾物の事例か、推進者達が知らないところで設計者達が地道に努力をして結果うまくいった例だと私は理解しております。
ちなみに私が手がけた成功例は、殆どが発表されておりません。逆に“現状診断”で様々な問題点を指摘したのですが、私の指摘を巧く理解頂けず、どう見てもうまくいっていないと思われるところが、華々しく“成功事例なるもの”を発表されている例は、少なからず見かけます。
本当にうまくいっている所は、推進者達は当然上層部からの高い評価を得ておりますので、外にむかって自己アピールをする必要性は少ないし、自分達が艱難辛苦の思いで会得したノウハウを世の中に向かって公表するメリットは全くありません。ですから積極的に公表してゆく動機が皆無なのです。精々つきあいの深い、ハード販社などのインタビュー記事に、差し障りのない範囲で聞かれたことを答える程度です。
ところがうまくいっていないところは必死です。面と向かっては言われなくても、社内では評価されておりませんので、積極的に自己アピールをする必要性があるわけです。自分達の役員さんが、他社の役員さんや学校の先生などから「雑誌でお見かけ致しましたが、お宅は進んでいますね!」等と言われると、現場を知らない役員さん達の中には、すっかりだまされてしまう方も少なくありませんので。
回答3ございません。これまで手がけた貴社と同業種製造業様は、最初から私どもと一心同体の取組を行って頂けましたので、大きくつまづくことはありませんでした。
一方5年ほど前に着手致しました、類似業種の某社さんは、貴社同様に失敗体験を受けてのしきり直しの取組でした。昨年あたりから取組は軌道に乗り、殆ど私の手から離れた状態まで仕上げました。
しかしこれらの事例は口が裂けても、何処の事例かも含め、貴社にお伝えすることは叶いませんのでお許し下さい。
一方、“現状診断”の場面や実際の改革支援の中では、私どもが会得したノウハウとして、類似業種における私どものしきり直しにおける取組の経験は、充分生かされるとご理解下さい。また同業種の例でも、その取組過程では様々なつまづき(小さな)が生じ、その都度微調整を行っております。当然これらから会得したノウハウも充分に生かして参ります。