では如何に手を打てばこれらの問題を解消できるかだが、具体的には取組み度合いの濃淡はあるものの、結論的には、かねがね私が提唱しているフロントローディング設計アプローチが、これらの問題を解決する切り札である。
例えば先々週、本来なら把握していて然るべき自社製品の、機械のあるべき姿を、設計者各々が自分なりにでも良いから把握出来ていない点、さらに各要素機器における、物理の法則に則った機械・機器の原理原則が把握できていない、若しくは継承出来ていない点を挙げた。
これらの解消手段は、物事を筋道立てて論理的に思考できる習慣を定着させ、機械の、あるべき姿と原理原則を明確化して、体系的に整理蓄積することで、部門として事業としての固有技術を高めるしかない。
具体的には、以下に列記するような取組みや態勢作りを、対象製造業には提案した。
続いて先週は、機械のあるべき姿や原理原則が解っていないためもあり、とにかくあらゆる設計アプローチが、作って、壊して(問題を出して)、考えよう(根拠レス闇雲アプローチ)の問題点を挙げた。
この問題を解消するためには、物に生じている現象を的確に把握して、科学的に問題を解決してゆく文化を植え付けるしかあるまい。そしてこの文化が定着できると、現象が生じてからアクションを取るのではなく、先手を打って、物に生じるであろう現象を予測できるようになる。
“作って壊して考えよう”の文化は、かつては多くの製造業で取られていた商品開発の平均的なスタイルで、30年前なら、重機械の一部業種を除き、我が国製造業のほとんどが取っていたアプローチスタイルである。
しかし時代とともに多くの製造業は、問題を事前に予見・予測する、商品開発方法へとそのスタイルを改めている。何故なら問題を事前に予見・予測するための道具立てが30年前から格段に進化したからだ。
ところが対象製造業では、この世の中の変化に追従することもせず、しかも、機械のあるべき姿・原理原則が不在(恐らくどこかで霧散してしまったのだろう)の中で、旧態依然とした開発スタイルを取っていた。これでは対競合、競争力が落ちてゆくのもあたり前であり、早急な改革を行う必要があった。
そして対象製造業には、これらの解消手段として、以下に列記する取組みを提案した。