CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

科学的な設計アプローチが不在では、まともな設計など出来るはずがない(11月1日の続き)



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紹介をしている製造業で把握した次の問題点は、その設計アプローチにおいて、科学的なアプローチが余りにも乏しかった問題だ。

この問題は、先週紹介した「機械のあるべき姿・原理原則が不在」と、表裏一体の関係にある問題である。機械のあるべき姿や原理原則が解っていないためもあり、とにかくあらゆる設計アプローチが、作って、壊して(問題を出して)、考えよう(根拠レス闇雲アプローチ)であったことである。

まず端緒感じた問題点は、「科学的に事象を把握して手当を行おうとする意識が欠乏」している点であった。

まともな技術者(設計者に限らず)なら、問題解決に際して、現象把握の作業を科学的に行ってから、考察・考案又は対策のアプローチに至るはずだが、残念ながらその痕跡を、一連のヒアリングでは、一部にしか確認できなかった。

例えば試作途上で生じた、*********************************************************を把握して、論理的な根拠を持った対策アプローチを行っているとは思えない、それぞれの回答内容であった。

特に問題に感じたのは、先人達の残したさまざまな継承技術を、現役の設計者達が咀嚼し切れておらず、しかも漫然と金科玉条の如く用いていることだ。

例えば騒音対策へのアプローチだが、騒音源を的確に把握することが全ての始まりであることを、十分理解できていない故巧く行かなかったであろう齟齬を見かけた。対策を行った本人達は、先輩達が残したさまざまな騒音対策のレポートをもとに、科学的アプローチを行っていると思っていたらしいが、そのレポートの意味を充分に理解できておらず、表面的な対策事例だけを参考にしており、折角得られた計測データから、問題の本質を読み取れないお粗末を犯していた。これは恐らく氷山の一角だと私は判断した。

もう少し具体的に説明すると、彼らは先輩達のレポートに従い、周波数分析結果から、その騒音発生源が、動力系からの物なのか、油圧系からなのか、搬送系からのものなのか等の振り分けを、先輩達のレポートに従って行っていた。しかしその***************************************************************を追わずして、突然非科学的な闇雲な追い込みを行っていた。

実際の*************************************************************、それほど難しくないアプローチだと思うが、誰もこれまでやってこなかった。そして闇雲に追い込みを行っている事実が明らかにあった。

同様な話は********************************************************************************闇夜で鉄砲を打つような対策作業に終始していた。

尽くあらゆる機種で発生する、**********************************************などの視点で現象把握を行っていない。等々挙げたら限りのないお粗末な状況であった。

このような状況故、当然のことだが、部品図に落とす前(計画図・検討図段階で)に、機械の各部に働く物理現象を予測して、先手を打って対応しようとする姿勢が、全く欠如していた。とにかく試作品を作って、試作評価段階で何が起こるか解らないが、問題が起きたら直せばよいの姿勢である。これが、紹介している製造業における商品開発の、当たり前の文化になっていたのだ。

一方複雑な機械構造品は、一口で「的確にそのメカニズムを把握して、物理の原則、機械のあるべき姿に則取って、科学的なアプローチを行え」と言っても一筋縄では行かない物もある。

特に機械装置の中が見えず、*************************************************************************、最新の計測装置で的確に把握できるようになっている物もあるが、未だオールマイティーでもない。

そして一般的には昔から、このような機械装置における、物理系の挙動を、科学的に推察する手段として、実験計画法に代表される統計手法が用いられてきた。

ところが、紹介している製造業では、複雑な、目に見えない、解明できない物理的挙動を起こす機械を開発しているのだから、その設計ツールとして駆使されていて当然の「統計手法に基づいたデータ整理・分析や実験アプローチ」が出来ていなかった。

実験計画法や各種統計手法の、名前さえ解らない設計者が少なからず存在し、ヒアリングを行った各種問題解決アプローチで、これら手法が用いられた形跡は皆無であった。これでは、場当たり的な闇雲な対策アプローチを行っているわけだと、妙な納得をさせられたのである。





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次に続く