<前略>
私は、この4月より製品開発部門の責任者を務めております。そして引き継ぎをほぼ終了した6月頃より、周囲には内密に、製品開発の効率や質向上の障害となる部門全体の問題点を、把握分析する取組みを行って参りました。
これまで、協調して作業を進めなければならない他チームの、進捗状況や設計の質が悪く、幾度も煮え湯を飲ませられてきた経験などから、責任者着任を打診されたときから、手がけるべく準備を進めてきた取組みです。
その結果、設計部門全体の体質弱化と、開発設計の中心的な役割を果たさなければならない、若手・中堅設計者達の劣化が著しいことを把握致しました。予めそうではないかと予想していたのですが、その予想が追認されたと言うことです。
特に人材面では、10年以下の若手設計者達が、驚くほど育っていないこと。さらにその前10年間に配属された中堅設計者の数が極端に少ないことなどが、その具体的な内容です。
これまでは、自分に与えられたチームメンバーだけを、しっかり掌握して面倒を見ていれば良かったのですが、全体の惨状を具体的に把握してしまうと、今後の私が取る施策が、弊社の今後の命運を握ると、身の引き締まる思いになっております。
そこで可能な限り短期間で、設計部門全体の体質強化や、効率よく着実な若手設計者の育成、中堅設計者の的確な増強が出来ないかと、著名なコンサルタント数名に来社頂き、把握できた弊社の状況を伝えて、今後我々が取るべき方向性についての意見を聞いたのですが、何れも在り来りの内容で、素直に納得できる意見は貰えませんでした。
そこで藁をもすがる思いで、さまざまな書籍や雑誌のバックナンバーを流し読みしたところ、先生が機械設計誌で連載されておられた「グローバル競争を勝ち抜く “攻め”の設計改革講座」に行き当たり、その全てをしっかり読破致しました。
そして設計部門弱化対策の取組みとしては、21回連載分の「グローバル競争を勝ち抜く “攻め”の設計改革講座」でご説明頂いている、フィジビリティースタディーやクロスファンクションプロジェクトなどの手法を、早速採用させていただき、取組みを開始したいと考えております。
そして既に、弊部署の幹部全員に連載のコピーを配り、10月中にそれぞれのチームにおける具体的なアクション案を作成して、11月2〜4日の3連休3日を費やしてそれぞれ発表、討議を行う旨指示を下してあります。
一方若手設計者達の教育に関して、何か手はないかと参考までに先生のホームページを拝見したところ、「若手設計者を短期育成できる最適アプローチ」、 「余りにも若手設計者の成長が遅すぎる、設計思考展開は使えるか?」、 「新入社員及び若手設計者の能力を的確に把握して適材適所配置と的確な育成を行いたい」などのコラムに行き当たりました。
まさに弊社も、上記ページで紹介されている製造業様と同じような状況にありますし、「若手設計者を短期育成できる最適アプローチ」の質問者の方が申されているよう、「先生がご指摘されているように、採用担当者達のポリシーの無さと目が節穴だったため生じた問題だと思いますが、いまさら採用してしまった者達を要らないというわけにも行かず、じょうずに活用してゆかざるを得ないと考えております。」が、弊社の若手にもそのまま当てはまると考えます。
そこでお願いですが、一度ご来社いただき我々の現状と目論見をお聞きいただき、ご助言を頂けますと幸いです。当然全体的な取組みへのご指導、若手設計者育成へのご指導を仰ぐことを前提に考えております。
<後略>
これまで私が行ってきたさまざまな提唱を、ご採用いただくご意向、大変光栄に思います。これらの手法や指針は、私がこれまでご支援申し上げて来た多くの製造業の皆さんと、艱難辛苦の上、編み出してきた手法であり、指針ですので、必ずしや貴社の取組みのお役に立てると思います。
ですから喜んで貴社にお邪魔させていただきます。ただし所定のコンサルティング料金や旅費日当などは申し受けますが。
ところで一点気になるところがあります。
貴社は、バブル崩壊後の約20年前、大規模なリストラを行っていると思います。またその後も数回リストラを実施してきているはずです。貴部署もその対象にされてきていると思います。そのころ、採用には至りませんでしたが、弊社の人材採用に、貴社でリストラ対象にされた方々が、何名か応募されて、面接で転職理由を伺っておりますので、間違いないと思います。
私の経験的には、貴社のような経緯があるケースですと、模範になり指導すべきベテラン設計者や管理職そのものが、昔に比べて質が低下しているケースを多く見ました。
特に問題は本当の“スーパーエンジニア”や将来の製品開発部署を担うべき“人材”を、個人的な好き嫌いや、ライバル蹴り落としなどの不純な動機で、追い出しを行ってしまった、ケースです。
結果、残ったメンバーは世渡りだけに長けた、“設計者や開発統括者としては不適な卑怯者”だけと言う状況に、陥っていることが少なくありません。200件を超える私が行なった“現状診断”では、少なからずこの様な状況に遭遇しております。
仮にこのようなケースですと、幾ら画期的な設計改革案や若手人材育成案を作れても、それを担う人材不足で、短期間に目論見を実現することが不可能になってしまうからです。
貴社が、このような状況に陥っていないことを祈るとともに、まずは弊社の“現状診断”を受診されることをお勧め致します。**さんが、把握分析された“拙さ内容や度合い”を検証する意味でも、重要だと思いますので。