<前略>
弊社では一度は海外分散した製品開発業務を、人材分散や拠点毎に遊離する開発思想の違い、人材運用面での非効率など、様々な弊害を解消すべく、開発コア部分は国内一極集中で行う態勢に改めつつあります。CAD販社などが吹聴するほど、遠隔地での協調設計もうまく行きませんでしたので。
しかし各開発拠点に分散した人員を国内に集中して、人材の効率的運用をはかろうとするのですが、海外派遣組はともかく、現地採用した開発要員の多くを国内に移動させることは、様々な制約もあり現実的ではありません。
他に代え難い優秀な人材で、本人が希望する場合には、家族を連れての転勤を積極的に投げかけておるのですが、欧米などの先進国ではなかなかうまく話がまとまりません。
このような事情もあり、大量の開発要員を中途採用しようと検討を進めているのですが、如何に的確に人材を選別できるかが関係者一同の懸念点となっております。いざ採用したはよいが、設計者としての能力やセンスが乏しかったのでは、話になりませんので。
そこでお尋ねしたいのですが、先生が提唱されておられます人材ポテンシャル評価の手法を持ちいて、採用面接などで人材能力の評価を行えるものでしょうか。他社でこのような活用例はありますでしょうか。
<後略>
はい可能です。しかし一人一人の能力を的確に測るためには、一人あたり最低でも一時間程度の時間を要するため、複数名のヒアリング担当者(当然的確にポテンシャル評価が出来る)を準備することと、可能な限りヒアリング対象者を絞り込める予備審査が重要になります。
私どもがお手伝いしてこのような作業を行う場合には、予備審査には論文形式の筆記試験を用います。機械工学の基本的な話から、物理の原理原則、対象製品に近い機械製品に対するあるべき姿に対する考えなどをその題材といたします。
これにより単なる表面的な知識だけではなく、頭の整理度合い、論理性などが把握できます(採点者の能力も当然必要です)。
またヒアリングには、該当者が過去5年以内に担当した業務内容を可能な限り持参させ、プロジェクターなどで表示させ、その着手時点からどのような考え方に基づいて設計を進めたか、その途上で何が起き、どのような考え方や分析で問題を乗り越えたかなどを事細かに聞き取ります。この辺りは、私どもが行っている人材ポテンシャル評価の内容と同じです。
しかし社内の設計者達に行う人材ポテンシャル評価とは異なり、説明させる内容に企業機密などが含まれる問題がありますので、可能な限り紙図面や書類などでの説明は避けさせ、記録に残らないプロジェクタ表示だけで行わせるようにさせるのが基本です。
具体的なヒアリングの進め方は人材ポテンシャル評価を紹介している以下のページを参照下さい。
尚「他社でこのような活用例はありますでしょうか?」は、それほど多くありませんが、ございます。