<前略>
早速のご回答ありがとうございました。お送り頂きました図表にて、先生の用いる手法などに関する、大筋のところは理解できました。関係者一同、ご来社頂いての詳しいご説明を心待ちにしております。
一方、先生のご回答を、トップに転送致しましたところ、早速次のような指示が下りて参りました。先生においで頂き、詳しいご説明を頂ければ済む話だとは思いますが、一度興味を抱くと、直ぐに詳しく知りたがるタイプなため、お忙しい先生にはお手間かとは存じますが、ご対応頂けますと幸いです。
****トップよりの指示内容****
次の内容を至急先生に確認すること
<後略>
現在外出先で充分な資料を持っておりませんが、手持ちの資料の範囲で貴社トップの御疑問にお答え致します。
@ 人材ポテンシャル評価(能力把握・採点などの作業)は、具体的に誰がどのような手段で行うのか
私どもがこれまで手がけてきた人材ポテンシャル評価作業は、概ね次の二つのパターンに分けることができます。
一つ目は、作業全てを私どもがお受けして、ポテンシャル把握作業から、その評価までを全て執り行うパターンです。表1に示すような流れで、私及び弊社スタッフ(現実的には全て私が行うが)が、人材ポテンシャル把握の全ての作業をおこないます。
この場合、費用が高くなりますが、熟練のテクニックを駆使した高い精度でのポテンシャル評価が叶うことと、割合短期間に作業を完結できるメリットがあります。
二つ目のパターンは、人材ポテンシャル評価基準点作りと、ヒアリング・評価作業者育成、評価結果吟味の作業の範囲を私どもがお受けし、最も手間を要する個別ヒアリングや採点作業を、依頼元メンバーに担って頂くパターンです。
まず評価対象者の一割程度をランダムサンプリングして頂き、これらの対象者に対して、私どもがパターン1と同様な、表1の流れに沿った作業を行います。同時にその一連の作業(特にヒアリング場面)は、ビデオ撮影を行い、これを依頼元メンバーのヒアリング教材と致します。
またこの作業の結果作成された評価結果は、依頼元メンバーが執り行うヒアリング&評価作業の“物差し“として用い、評価作業を複数で手分けする際のばらつきを防ぎます。
この場合のヒアリング・評価作業メンバーは一般的には、部長クラスに勤めて貰います(直属の部下ではなく、複数の部長クラスがお互い自分の配下外の対象者をヒアリング・評価する方式で)。
このパターンのメリットは、費用がパターン1に比べ安価で済むことですが、評価精度には難があり、また評価完結までに時間が掛かるのが一般的です。
「人材ポテンシャル把握診断の骨子」「ヒアリング対象者事前アンケート」図1,2に示しますので参考にしてください。
1 | 設計ポテンシャルヒアリング事前準備(資料作成・日程調整等) | 事前アンケート用紙やポテンシャル評価フォームの準備を行うとともに、個別ヒアリングのスケジュールを調整を行う。 |
2 | 事前アンケート結果整理・個別ヒアリング計画(作戦立)) | 1で作成した事前アンケートに、ヒアリング対象者からの回答を整理するとともに、ヒアリングに際して各々に聴き取りを行う内容や流れの作戦立てを行う。 |
3 | 対象設計者個別ヒアリング | 対象設計者に対して、2で準備した作戦に従い、個別ヒアリングを行う(ヒアリング内容は全て録音)。 |
4 | その他部門参考情報聴取 | 前工程(商品企画・営業関係部門)、後工程(主に生産技術・工場・サービス)各々複数名に、対象設計メンバー個々のポテンシャルに関する参考言意見聴取を行う。3で聴き取った内容の信憑性確認の目的で実施する。 |
5 | ヒアリング結果整理 | ヒアリングの結果整理を行う(弊社スタッフにより、録音したヒアリング内容を書き落とす)。 |
6 | 個別ポテンシャル評価(採点) | ヒアリング内容の整理結果より、ヒアリング対象者個々のポテンシャル評価を行う。 |
7 | 評価結果の吟味 | 弊社が執り行った評価結果に対して、対象設計者の現在の上司、過去の上司、これまで仕事上関係を持った上位者などに、その診断結果を提示すると共に、それぞれの見解を聴取する。弊社評価結果と、聴取者大多数との見解が相違する場合には、改めて対象設計者に対してヒアリングからの作業をやり直す。弊社評価に対して、一部聴取者の見解が異なる場合には、改めて関係する聴取者全てに、見解の相違点を明示した上で、妥当な評価を探る。 |
A 個別育成カルテは、人材ポテンシャル評価結果に対して、どのような判断基準で誰が策定するのか
まず個別カルテ作成のポイントは、対象になる設計者や技術者に、将来どのような役割を果たして貰いたいかから全てが始まります(前回の図3)。そしてそのためには何を伸ばして貰えばよいのか(前回の図4)と言う流れで、それぞれの潜在能力が優れている部分をさらに伸ばし、欠けている部分を補う内容がそれぞれのカルテに記入されることになるわけです。
個別育成カルテ作成の流れや目的は、図3に示す「一般技術者の総合技術力底上げ」を参照下さい。また人材育成カルテの参考例を添付致します。(ウエブ会員の皆さんには閲覧できません、悪しからず)
B 当社でも昔から人材育成の取組みを続けているが、実業務以外のオフライン教育ではなかなか成果を上げること
ができなかった。先生の行う人材育成にはどのような工夫があるのか
「実業務以外のオフライン教育ではなかなか成果を上げることができなかった」仰る通りで、座学などではなかなか効果を出すことは、難しいと思います。
私の考え方は、やはり実務を通じて各々が行う自助努力が全てという考え方です。そして組織側が用意しなければならない物は、各々が自助努力を行なおうとする際に、その取組みを阻害する要因を可能な限り取り去ることや、機会・教材などを滞りを起こさない様に用意しておくなどの環境作りです。
合わせて、上記したような個別育成カルテなどを用いて、何が優れていて何が足りないか、組織としてはあなたに何を期待しているかなどを明確に本人に伝え、自助努力を促すことです。
なお。上で示した図3にある「マーケットに触れる機会の積極的創出」「成功体験・失敗体験のチャンスの提供」 なども、環境作りの一つだと考えております。