CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

経営トップから開発工数を半減しろと言われておりますが即効性のある対策手段はありませんでしょうか?


■質問■

<前略>

6月末の株主総会で経営トップが変わり、ここに来て様々な新方針が打ち出されるようになりました。ちなみに我が部に対するミッションは、「開発工数を半減しろ」と言う要求です。

そこでこの分野にお詳しく、各所で様々な成果をお上げになられている先生のことですから、我々が課せられたミッションを、ミニマムの手間と最短期間で成し遂げる術をお持ちではないかと、お問い合わせさせて頂きました。

何か即効性があり、余り手間のかからない対策手段はありませんでしょうか。

<後略>

■回答■

開発工数の最小化は、その開発過程で生み出される様々な“ムダ”を根絶することです。

深く考えずに安易に行う設計故生ずる“手戻り”“後戻り”、論理的な詰めをさぼり、物理の法則や対象機械の原理原則から逸脱した設計を行い生じさせる“モグラたたき”、自社の能力などから生ずる物作りの制約や調達の制約を深く配慮することなく設計し、いざ量産段階になって膨大な設計変更を余儀なくされる“ムダ”など挙げたら枚挙に暇がない“ムダが”何処の製造業の開発現場にもあると思います。

ですからご質問の回答としては、「これらの“ムダ”の一切を根絶することです」と言うことになります。しかしご質問の中にある「即効性がある」と言う事になると、極めて絶望的になります。多くの製造業で上記アクションを完璧に成し遂げるためには、恐らく数年の歳月が必要となると思います。

と言うことで現実味があるか否かはともかくとして「即効性」という問いに対しては、過去に十分経験を積み、対象機械の原理原則がしっかり把握でき、その機械に働く様々な物理現象もしっかり把握でき、その上“手戻り”・“後戻り”を犯さない設計アプローチ方法が確立できている製品だけを開発するようになされたら、きっと開発工数を容易に(即効性を持って)半減できるのではないかと思います。

しかし現実的には、皆さんが実際に扱っておられる開発対象製品は、このようなカテゴリーに括れない代物が殆どではないでしょうか。「経験はあるのだけれど、機械の原理原則が十分に分っていない」。「その機械に働く様々な物理現象もしっかり把握できて居ない」。「最適な設計アプローチ方法も確立できていない」。等無い々づくしのはずです。

そうしたら「何か即効性があり、余り手間のかからない対策手段はありませんでしょうか」と言うご質問自体が、全くご自身達の問題点・現実を把握できていないご質問だと思いませんか?

もし貴社が我が国の平均的製造業でしたら、私どもに支援をご依頼頂ければ、少なくとも“開発工数を半減させる”件は、最短期間且つ的確に「開発工数の半減」を実現して差し上げます。ただしこの際、“余り手間のかからない”という要件にはお答えできませんどころか、逆にフロントローディング設計体制を確立するための“膨大な手間“がかかると覚悟下さい。

私どもは開業以来17年、様々な我が国製造業の皆さんと一緒になり、“最大効率”且つ“最短期間”で“ユーザーニーズに即した”“高品質”且つ“低原価”、詰まるところは“稼げる”商品を生み出す取組を行っており、これらを総称して「フロントローディング設計」と呼び、各所で成果を積み重ねて参りました。

まずは、是非私どもの“現状診断”を受診されることをお勧めいたします。そうすれば、貴社でもフロントローディング設計体制を確立する事が可能か否か?どの程度の期間と手間を要するか?などが的確に見えて参りますし、最適な「フロントローディング設計体制を確立」アプローチ方法もご提案できますので。



<参考>

フロントローディング設計の極意を教えてください
フロントローディング設計のススメ
フロントローディング設計実現には不可欠なCAE 技術を駆使した予測型設計