CAE に代表されるシミュレーション技術の活用である。まさに仮想試作・仮想試験そのものである。
コンピュータ技術の進化した現在、この種の手法を用いない手はない。しかしながら多くの製造業において、商品開発におけるこれらの道具の活用状況は、極めてお寒い状況にある。筆者が行う現状診断の結果からは、これらの道具への取組を、今まで無意識のうちに避けてきたであろう傾向が、強く認められる商品開発部署は少なくない。
表面的には道具を保有して、それなりに活用されているかのごとく体裁が整えられている。しかし各所におけるヒアリングで把握したその活用の度合いは、極めてお寒い状況である。特に商品開発途上で生ずる色々の設計課題に対して、シミュレーション技術を活用してゆこうとする意識が皆無に近い製造業が少なくない。
このような状況は、多くの場合マネージャークラスが、シミュレーション技術の目的が何かを理解していないから起こる、やむを得ない現象でもある。そしてCAEツールが適用できそうな場面が、商品開発の各所に山積しているにもかかわらず、無意識にか意識的にかこれらの道具を活用しようとしていない現実が余りにも多い。
しかし一方、これらを活用した仮想試作・仮想試験への取組は、着実に成果を出している。特にA社等の取組は、シミュレーション技術の活用を抜きにしては成し遂げることが出来なかった。
また機密保持の制約上紹介は出来ないのだが、筆者が手がける様々な事業・設計改革は、シミュレーション技術の活用を抜きにしては成り立たない。
さてここまでは、これまで一般によく言われてきた、CAE等の活用技術における範疇での話である。具体的な活用術は、筆者の著書「CAEによる設計の改革術」日刊工業新聞社を参照頂きたい。