CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

的確な人材育成を行うための個別能力把握はどのように行うのか?




■質問■

<前略>

貴ホームページの「役に立つ設計者を巧く育てることができない」及びこのページに紹介されている関連するページを、大変興味深く拝読させて頂きました。

生憎会員ではないために、会員向けに掲載されている様々な図表を拝見できず、必ずしもすっきり理解できたわけではありませんが、的確に役に立ちそうな人材を確保して、対象者それぞれのポテンシャルを的確に把握したうえで、それぞれに合わせて的確に育成してゆくという趣旨は、よく理解できました。

早速関係者を巻き込み、御貴殿が提唱されている考え方に基づいた取組みが、可能か否かの検討に入りたいと思います。

しかし関係者に課題提起を行うに際して、具体的にどのような手法を用いて、どのような流れで行うのかが今ひとつイメージできません。

このあたりを補足的にご説明頂けますと助かります。

例えば「人材ポテンシャル診断をお願いした場合」費用的に如何ほど必要かもお知らせ頂けますと幸いです。

<後略>

■回答■

まずご質問の殆どは、「人材ポテンシャルの把握方法、個人別育成カルテの策定方法は?」に記載されていたと思います。ただし会員限定の図表をごらん頂けないので、ご理解が不十分だと思いますので、これら図表は本メールに添付致します。

さらに、念のために上記ページとは重複致しますが、実際に最近実施した“ポテンシャル診断”の流れを下記致します。



               
 
実 施 項 目
具体的なアクション内容
ポテンシャルヒアリング事前準備(資料作成・日程調整等) 弊社が標準的に保有する、事前アンケートやポテンシャル評価などのフォームを、診断依頼製造業の状況や文化に合わせて修正するなどの事前準備を行うと共に、個別ヒアリングのスケジュールを調整確定する。
一般的には、ポテンシャル評価の評価基準は、添付した評価基準シートに従って、弊社のノウハウを加味しつつ絶対評価を行う。
しかし本例では、対象人材の中における相対評価もリクエストされたため、“相対評価の基準”となる複数の候補者の人選を行って貰った。
本ケースでは、対象組織内でトップ評価・平均評価・下位評価を受けてきた者を、年代別(入社3年まで、3〜8年、9〜15年、15年以上など)に各2名以上拾い出し“相対評価の基準”とした。
2  事前アンケート結果整理・個別ヒアリング計画(作戦立) 1で作成した事前アンケートに対するヒアリング対象者からの回答を整理するとともに、ヒアリングに際して各々に聴き取りを行う内容や流れの作戦立てを行う。
診断対象者個別ヒアリング 診断対象者全員に対して、2で準備した作戦に従い、個別ヒアリングを行う。
ヒアリング内容は全て録音する・・最近は撮影するケースが多い。
ヒアリング順位は“相対評価の基準”若い順に実施した後は、診断対象者のスケジュールに合わせ任意順番で行う。有泉自身が直接診断を行う場合には、この段階から暫定評価点を付ける。
その他部門参考情報聴取 前工程(営業関係部門)、後工程(主に工場)各々複数名に、診断対象メンバ個々のポテンシャルに関する参考意見聴取を行う。
3で聴き取った内容の信憑性確認の目的である。
ヒアリング結果整理 ヒアリングの結果整理を行う(弊社スタッフにより、録音したヒアリング内容を書き落とし、ヒアリング時記録メモと合わせ、内容の定量化・相対化を行う)。
個別ポテンシャル評価(採点) ヒアリング内容の整理結果より、ヒアリング対象者個々のポテンシャル評価採点を行う。
評価採点方法は、添付した評価基準シートに従って、弊社のノウハウを加味しつつの絶対評価である。
一方リクエストされた組織内相対評価は、各評価項目を“相対評価の基準”者のトップ者を90点、平均者を50点、低位者を10点として、既に採点してある、絶対評価点に補正を掛けるかたちで、相対評価点へと置き換えた。
尚、有泉以外の弊社スタッフがヒアリングを行った場合でも、有泉は必ず全録音を聞き取り、ヒアリング者とは別途採点を行い、その結果を突き合わせ、ヒアリング者採点値に調整を行う流れで採点を確定する。
有泉が行ったヒアリングは、弊社スタッフに録音を聴取させ独自採点を行わせる。その結果を有泉評価と突き合わせ、採点結果に差異がある場合には、調整後再採点を行う。
対象者の全評価終了後、弊社が持つこれまで診断を行った各社の平均値と、診断依頼先平均値を比較評価し、企業平均値のグローバル評価点を採点する。
この結果に、各評価対象者の評価点を重ね合わせると、当人の、我が国工業界におけるポテンシャルポジションが、判ることになる。
診断結果分析・問題点抽出(個別ヒアリングで把握できた範囲で) 2〜4までの情報収集では、評価対象部門や対象企業が抱える問題点を的確に評価できる情報収集は無理だが、重大な問題点の幾つかは、把握できる可能性が高い。
ここでは、情報収集できた範囲で、問題点抽出の分析作業を行う。
対象部門業務改革参考案立案 7で抽出した範囲に限定されるが、把握した問題点を解決するために“何を行えば良いのか”の、改革案を立案する。当然、現時点で考えられる最先端の手法やツールの活用を踏まえた、“何を行えば良いのか”への展開を行い、併せて概略の改革計画(推奨スケジュール)を立案する。
9  報告書・プレゼンテーション資料作成 6と8の結果を報告書と、報告用プレゼンテーションスライドに纏める。
10報告 9で作成した報告書を用い、診断結果の報告を行う。

ちなみに上記例ですと、対象者50名、ヒアリング10日で約1000万円(旅費・実費・税抜)でした。