CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

会社情報

ご挨拶

代表取締役 有泉 徹

 これからの我が国製造業が目指すべき究極の目標は、「全世界の顧客ニーズにマッチした、安全で高品質且つ適正価格の製品を、より短期間且つ低コストに開発できる実力を持ち、常に安定した商品開発と製品供給が叶う実力を持ち続ける事が出来る事業体質」に、自身の事業体質を変革することです。実際に効果のある事業改革及びそれを支える商品開発改革・設計改革が実現できなければ、ワールドワイドでの負け組企業に陥ることは必定でしょう。
企業組織としての製造業の存在意義は、社会正義に反することなく、適正な利益を上げ、株主に適正な配当を行うことにあります。当然、利益を上げるために身を粉にして働く従業員に対しても、応分の還元(分け前)がなされなければなりません。また、企業活動を行っていくうえで、協調関係にある社会への適正還元も忘れてはなりません。
 ですから、これらの責務を果たすために製造業は、常に“旬でよく売れる商品”を開発して、市場投入を行い、市場から正当な利潤を上げて、株主・従業員・社会への適正還元を行い続ける必要があります。要するにこれからの我が国製造業に課せられた使命は、全世界の顧客ニーズにマッチした、安全で高品質かつ適正価格の製品を、より短期間かつ低コストに開発できる実力を持ち、常に安定した商品開発と製品供給を行うことでしょう。 その結果、我が国製造業が潤い、株主が潤い、従業員が潤い、関係者が潤い、国民全体が潤う構図が、我が国製造業が担うべき究極の社会的使命ともいえます。
 世界の工場と言われ、飛ぶ鳥をも落とす勢いだった1970年代から80年前半にかけての我が国製造業は、すぐにでも、このゴールに到達できそうな勢いでしたが、バブル崩壊と共に儚くもこの期待は消え去りました。
そして私共は、まさにこのバブル崩壊以来14年余りに渡り、我が国製造業の復活・復権を実現すべく、様々な業種の事業改革や商品開発改革・設計改革の支援を行って参りました。そして様々な手法や手段を試み、支援をご依頼頂いた各社様に、目に見える効果を享受頂いて参りました。
私共が事業改革や商品開発改革をお手伝いさせて頂く際は、原則“現状診断”と呼ぶ診断作業を行わせて頂いております。
商品開発は、製造業に取って極めて重要な生命線です。そしてその商品開発には、事業に関わる全ての頭脳(商品企画→構想設計→FS→開発設計→試作→生産設計→量産→検査→出荷→品質保証→販売・市場確認→商品企画→構想設計→…繰り返し…)が結集され、相乗効果を持ちながらその取組が行われないと、市場を席巻できるような商品開発は、一般的には叶いません。この十年来言い古された観もありますが、コンカレントエンジニアリングの考え方のポイントは、まさにここにあります。そして過去製造業としての本分で、勝ち組を続けている製造業は、このポイントを決して外していなかったはずです。
 私共が行う現状診断では、「事業に関わる全ての頭脳が結集され、相乗効果を持ちながらその取組が行われているか」を厳しくチェック致します。商品の全ライフサイクルにわたる業務内容や仕事の進め方の実態を、関係者から事細かに聞き取り、第三者の冷静な目と、都合150件を優に超える現状診断の経験から会得した豊富な情報から、その欠けている点、機能していない点、改革改善すべき点等を漏れなく探し出します。
さらに、その改善点に対して、数十社を超える事業改革や商品開発改革・設計改革を通じて会得した、手法・手段を用い、それぞれの製造業が持つ文化を改革に支障のない限り尊重した、改革・改善案を提示致します。また、その提示内容は、改革案をただ言い放しに終わらせるのではなく、改革成果が出るまで徹底的に改革支援を行うことを前提にしたものです。そして私共が改革案提示に際して念頭に置くポイントは、以下に挙げる3つのイノベーションと称する取組です。


@デザインイノベーション
Aプロセスイノベーション
Bナレッジイノベーション


 デザインイノベーションでは、私がかねてから提唱するフロントローディング設計を実現させることにより、一切の”手戻り””モグラたたき”設計を根絶することにより、開発期間1/3以下、開発総費用1/3以下、量産垂直直立ち上げ、市場不具合根絶を目指した商品開発態勢を実現する事を目指します。
 プロセスイノベーションでは、本来のコンカレントエンジニアリングが目指した“心”から大幅に逸脱し歪曲化された、言葉だけのコンカレントエンジニアリングを即刻廃止し、実態を伴ったコンカレントエンジニアリング態勢を実現することにより、間違いなく顧客ニーズを捉え、間違いなく作れ、間違いなく利益の出せる、一切の品質問題を起こさない、製造原価を実現できる、強力な事業態勢・商品開発態勢を確立することを目指します。
 このためには、多くの製造業で見かける、部門間の厚い壁を突き破った、あらゆる事業関係者の知恵と経験が最大効率で結集できる仕組み作りが必須となり、私共は、クロスファンクションプロジェクト貢献した分が適正に評価され、実感を持った収入に結びつく人事考課制度で、この問題を乗り越えて参りました。
 ナレッジイノベーションでは、歴史ある製造業ほど大量に保有する、過去から蓄積され、一握りのスーパーエンジニアの頭の中にだけ残る、“暗黙知”と呼ばれる無形知識を有形化して、平均的な設計者も戦力として大いに活躍できる態勢作りを目指します。さらにこの取組を発展させ確実な技術継承手段の確立と設計技術向上を果たし、強力なフロントローディング設計態勢確立へその基盤を支えます。
 しかしこれらのイノベーションを実現するためには、事業若しくは商品開発に関わるあらゆるスタッフの徹底した意識改革が必須となります。
一方、社会が安定して、“ハングリー精神”なる言葉が過去の遺物と化した20年ほど前から、モノ作り現場を避ける若者たちが増加傾向にあります。増加傾向どころか、製造業にとっては、壊滅的な人材供給難に直面していると言っても過言ではないでしょう。
 豊富に人材供給がされていたかつての商品開発現場は、その組織の中の数%にしか過ぎない“スーパーエンジニア”達にすべてを託してきました。直感と感性にすべてを委ねても、優秀な“スーパーエンジニア”達は、“旬でよく売る商品”の関門をクリアーできていたのです。
 しかし、モノ作り現場を避ける若者たちが増えて、バブル崩壊で強まったベテランエンジニアに対する迫害とも言える理不尽な仕打ちの数々は、製造業が“旬でよく売れる商品”を常に開発し続けるためには、極めて厳しい状況を生み出してしまいました。すなわち、直感と感性で“旬でよく売る商品”を生み出せる“スーパーエンジニア”が急激に減少してしまったのです。
 “スーパーエンジニア”が減少すると何が問題となるかですが、その答えは明白です。たとえば私共が提唱するフロントローディング設計を行う場面でも、頭の整理されたエンジニアなら、すなわち“スーパーエンジニア”なら、私共が要求するような面倒くさい手順を踏まなくても、その経験則で起こるであろう問題点を事前予測して、的確に手だてを打った商品開発ができます。要するに“スーパーエンジニア”なら、開発過程で起こるであろう多くのリスクを事前予測し、問題が起こる前に回避して、“旬でよく売れる商品”開発に結びつけることができました。
 では新しい人材の確保も難しく、ベテランの“スーパーエンジニア”は減ってしまった製造業が何をすればよいかですが、その答えは明白です。未だ終身雇用の文化が残る我が国では、ヘッドハンティングなどを用いた外部人材の取り込みは、巷で語られるほど簡単な話ではありません。人材そのものが不足している現状から考えると、容易に人材確保ができないうえに、せっかく確保した人材が生え抜きの古株社員に潰されてしまう問題があるからです。
 そうすると、結論は明白で、手持ちのエンジニアを有効活用するしかないと言うことです。しかし彼らには、“スーパーエンジニア”のような能力がないと言う矛盾が立ちはだかります。私共がかねてから提唱している、設計思考展開(DPD)は、このような並のエンジニアに、“スーパーエンジニア”に勝る役割を果たしてもらおうと言う手法です。これまでは、重要な役割を担わすには難のあった設計者達を、有効な戦力として活用でき、その設計組織を、“旬でよく売れる商品”を常に開発できる設計組織に変革させる手法であり、ナレッジイノベーションを側面から支える手法であります。
 事業改革や商品開発改革・設計改革などのへ皆様がチャレンジされる際、その取組のパートナーとして私共を活用頂けますと幸いです。
(平成17年盛夏)