さて、「フロントローディング設計」を実現するためには、上でも述べたように気が遠くなる準備作業が必須だ。なぜなら物を全く作らずに一発でOKになる仮想試作・仮想試験を実現しなければならないからだ。
このためには絶対的に信頼が置ける仮想試作・仮想試験の為の“ひな型モデル”が必須となる。またその根拠を裏付ける、整理された各種ノウハウの形式知や対象機械の原理原則が必須となる。先の例で筆者達が行った3年間の準備期間とは、まさにこれらを積み上げる気の遠くなる準備作業なのだ。
そして筆者はこれまで、実際にフロントローディング開発(設計)を行う際に、表1に示すような3つのアプローチが、滞りなく、淡々と進めることが出来るレベルでの取組を、指導した各社に要求してきた。“ひな型モデル”等の準備が、バランス良く、漏れることなく作り上げられることをだ。