<前略>
早速の御回答ありがとうございました。
ご提案頂きました趣旨は良く理解できますし、このような取組が本当に実現できれば、私どもの狙いを効率よく実現できると思います。しかし弊社のこれまでの経緯を考えますと、感情的なしこりもあり、特に期待できる方々の協力を得ることは難しいと考えます。
これらの方々の中には、個人的には親しく、未だに家族ぐるみで付き合いのある方々もおりますが、口には出しませんが、心情的には明らかに弊社を許してくれておりません。ですから、先生のご提案のように、中途退社組全員に声を掛けても、徒労に終わると考えます。
そこで、もう少し詳しくお聞かせ頂きたいのですが、先生の御回答の最後にありました、「現有メンバーで、根気よく機械の原理原則を把握して、貴社製品のあるべき姿を追求し続けてゆく取組が必要となりますので・・」に取り組みたいと考えますが、最大効率でその取組を実現できる、取組方法をご教示頂けますと幸いです。
当然先生にご支援を仰ぐことを前提にお答え頂きまして結構です。
<後略>
私がご支援申し上げることを前提でしたら、まずは私どもに貴社の“現状診断”を行わせてください。
この診断を行いますと、“固有技術や継承技術を復活”の問題だけでなく、貴社の製品開発部署が抱えるあらゆる問題点が洗い出されます。その結果から悪い順に優先順位を付けた、改革案を提案させて頂きます。当然“固有技術や継承技術を復活”の問題もその改革案の重要事項として、具体的な進め方も含めて提案されるはずです。
具体的な提案内容としては、弊社の20年以上に渡る各所での経験と、“現状診断”で把握した貴社の文化をベースに、最も効率よくご希望を叶えるであろう取組方法をご提示出来ると思います。
さらにこれまでの弊社のご支援方法ですと、改革案提出後3ヶ月ほどを掛け、貴社中心メンバーと摺り合わせて微調整を行った上での、取組スタートを行うのが一般的です。
具体的には、潰えてしまった技術を、当時の設計資料や図面を用いて、回復させる手立を考えております。現在貴社の設計部署を支える精鋭メンバーが持つ、技術力や知恵を拝借して、私どもの仕切で、リバースエンジニアリング的に、先人達が、どのような根拠でどのような意図を持ち、対象の設計を詰めていったかを、参加者全員がその知恵を出し合い、推理を進めてゆく方法です。
機械は必ず物理の原則・法則に従って成立しております。理論的には、完璧な論理に従って詰められている設計は、誰がアプローチしても、必ず一つの解に収束します。
現実的には、設計者達が持つ経験則に従った山勘が入り込んでいるため、完璧に一つの解に収束させることは不可能ですが、対象者からヒアリングで聞き出したと、同レベルであろう結果を、これまでの私の経験では、得られております。