いいえ!フロントローディング設計とは、対象機械の使われ方、メカニズムを正確に把握して、
至らない設計により生ずる不具合を、前もって予測して潰し込む取組みですので、必ずしも必
要ありません!当然CAEを駆使できれば効率が大幅に上がるはずですが!
<前略>
弊社では、数年前からフロントローディング設計を会得しようと、様々な取組みを行って参りました。
先生のお書きになられた雑誌連載や、貴社のホームページなどを手始めに、複数の製造業との記述交流会、機械学会などの講演会などで、その考え方を理解して、他社の取組み事例を収集して参りました。
5年前に、設計部門の中に専任ではありませんが、フロントローディング設計プロジェクトチームを結成して、力のある設計者を中心に集まって貰い、計画の立案、実際の開発への適用などを試みて参りました。
しかし、既に10件を超える開発案件でトライしたのですが、一向にフロントローディングになりません。
何が悪いかと、全体を重ね合わせてみますと、設計初期段階から中盤での、CAEシミュレーションの精度が悪い事が原因ではないのかと言う意見が大勢を占めました。試作段階で発生する不具合を殆ど予見できないどころか、CAE解析結果に基づいて決めた板厚や寸法部分で、不具合が多発する始末ですので。
これは、弊社設計者の質が悪いと言ってしまえばそれだけですが、物作りの要である設計がこのような体たらくでは、弊社の将来は真っ暗です。
CAEを使えないと、フロントローディング設計は無理なのか?
弊社レベルの製造業ではフロントローディング設計は行えないのでしょうか?
このような弊社でも何とかフロントローディング設計をモノに出来ませんでしょうか?
<後略>
まず一般論から。
私の定義するフロントローディング設計は、製品(商品)開発が行われる一連の過程で、一切の手戻り・後戻りを起こすことなく、滞りなく最短期間且つ最小コストで設計・検証。・製造・出荷の一連の工程が、効率的に動く製品開発形態をさします。
このためには、商品企画の悪さから来る、開発仕様変更から始まり、設計チョンボに起因する試作段階での泥縄、物作り情報提供不良から来る、量産立上げ段階での大混乱などを、一切合切生じさせなくする必要があります。
逆に言えば、これらの問題を起こさずに、最短時間且つ最小コストで商品企画~商品出荷が叶うことが出来れば、フロントローディング設計態勢は確立できたと言えるでしょう。
ところで貴社の状況ですが、この広い範囲でのフロントローディングが巧く行かないと言うことではなく、設計試作段階での設計不具合の頻発を、解消できないと言うことなのでしょうか?商品企画の拙さや、物作り都合の折り込みなどは、滞り無く巧くいっているのだが・・・と言うことでしょうか?
それであるなら、CAEツール駆使の問題は置いておいても、「フロントローディング設計の大半は実現できている」と胸を張っても良いと思います。しかし、私の読みでは、違うと思います。恐らく全体が巧くいっていないのではないでしょうか?
これを機会に、これまでの取組みを振り返り、私がこれまで行ってきた発信情報との、突き合わせを行ってみてください。恐らく、様々なところで私が示している指針と齟齬があったり、曲解した取組みを行ってきたに違いありません。
本当にフロントローディング設計態勢を確立したいのであれば、急がば回れです。一度箇々で振り出しの戻っての、冷静な仕切直しをお勧め致します。
さて、CAEツールの駆使ですが、これまで私が手がけてきた製造業の中には、汎用のCAEツールをほとんど用いずに、完全な予測型設計を実現しているところがあります。
設計の質に起因する手戻り後戻りの撲滅は、対象になる製品をよく知ることがポイントです。要するに、対象機械の使われ方、メカニズムを正確に把握して、物理的に妥当なモデルに落とし込むことで、その挙動を的確に予測できることです。
この予測に使う道具が、CAEツールであろうと、電卓であろうと、手計算であろうと、なんでも構いません。工学的に妥当なモデルにより、その挙動が的確に予測さえ出来れば、後はそれから得られる解を、淡々と設計内容に織り込めば済む話ですから。
要するに、この段階でのフロントローディング設計は、至らない設計により生ずる不具合を、前もって予測して潰し込む取組みですので、CAEツールの駆使は必ずしも必要ではありません。
当然CAEを駆使できれば、大幅に効率が上がりますが。
ですから頂戴した3つのご質問には、それぞれ以下のようなお答えとなります。
御質問1
CAEを使えないと、フロントローディング設計は無理なのか?
回答1
いいえ、上記した様に、用いなくても充分にフロントローディング設計は、実現可能です。
御質問2
弊社レベルの製造業ではフロントローディング設計は行えないのでしょうか?
回答2
貴社を余り存じませんので何とも言えませんが、外形的に貴社レベル以下の製造業でも、しっかりフロントローディング設計を実現しております。
貴社レベルで出来るか否かではなく、“商品企画の悪さから来る開発仕様変更から始まり、設計チョンボに起因する試作段階での泥縄、物作り情報提供不良から来る量産立上げ段階の大混乱などを、一切合切生じさせなくする必要があります”の各々で起こる原因を、徹底的且つ冷静に分析して、それぞれ一つ々を、根気よく潰し込んで行く取組みが、本当に出来るか否かの問題です。
しかしCAEツールを巧く使えないと言う貴社の現状に、極めて大きな疑問があります。(これから先は、そのまま公開することを憚れるため、会員限定にします)
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御質問3
このような弊社でも何とかフロントローディング設計をモノに出来ませんでしょうか?
回答3
ご質問の2でお答えしたように貴社は、「フロントローディング設計をモノに出来ませんでしょうか?」などと、のんびりしたことを言っておられる状況にはないと思います。
まずは、弊社の“現状診断”を受診下さい。そうすれば、貴社のご希望が可能か否か、もし可能であれば、具体的にどのように進めればよいのかを、しっかりレポートさせて頂きます。
恐らく診断を受診頂ければ、「フロントローディング設計をモノにする」以外の、貴社が今後必須で取り組むべき、様々な改革内容を、優先順位を付けて提示させて頂きます。