CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

具体的にどの層が如何ほどの割合で危機意識を強く持てば改革はうまく進むのか(12月14日続き)




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■質問■

<前略>

先生からのご回答を、早速技術のトップに報告致しました。

そうしたところ、「先生の言っておられる趣旨は理解できるし、私の経験や一般論から言っても、誤りのないご指摘だと思う」「しかし我が社は、**君が苦労しているように必ずしも一枚岩ではない」「特に改革に後ろ向きな製造や営業の幹部を巻き込み、彼らに危機意識を持たせなければ話が始まらない」「彼らのどの層の、どの程度の割合に、危機意識を持たせれば、改革が前向きに進むのか」「先生の経験でよいから、ある程度の具体的な数字を把握しておきたい」との指示が下りました。

そこで早速、再度のお問い合わせをさせて頂きました次第です。

ご回答のほど宜しくお願い申し上げます。

<後略>

■回答■

後日のお打ち合わせで確かめようと思っていたのですが、
貴社の製造や営業の幹部達は、貴社全体の現状を的確に把握されておられますか?
少なくとも近未来予測も含めた、損・益面での正確な数字を、誤り無く把握できておられますか?


営業部隊は、売上額に血眼になっておりませんか?


製造部門は、その生産高や、歩留率・品質管理指数等だけに目を奪われておりませんか?

もしかしたら
「目標原価で開発できないのは、設計の能力が無いからだ!」
「設計の質が低いから中途半端な開発を行い、クレーム費を増大させるのだ!」
等、日頃から自分たちの部門には問題がないと嘯いておりませんか?

公表されている、貴社の収支報告などの、ここ数年の推移を見ても、貴社に全く問題が無いとは思えませんし、設計(製品開発)部門だけに問題があるとは、とても思えません(これまで、数多くの製造業における、改革を手がけてきた経験から)。

それにも拘わらず、**さん達がその要因を追いかけ、ある程度把握された、悪い面での現象と原因を、設計の言い訳と決めつけ、自分たちには全く責任がないと、本気で思いこんでいるのではないでしょうか?

このような状況では、もしそうであるならば、「どの層の、どの程度の割合に、危機意識を持たせれば」以前の問題だと考えます。まずは、真っ先に、経営に関わるあらゆる数字を、彼らに分かり易く且つ正確に、共有させる必要があります。

水準以上の企業人なら、例えそれが営業畑であろうとも、製造畑であろうとも、自社における現状の拙さ、将来への雲行きの悪さなど、瞬時に読み取ることが出来るはずです。それもそれぞれの役割に応じた内容でです。

理論的には、「悪さ度合い」が解ったら、ほんの一握りの者達を除き、その殆どが強い危機意識を抱くはずですから、「どの層の、どの程度の割合に、危機意識を持たせれば」以前の問題だと申しました。

さて、ご質問へのお答えですが、お答えが貴社に取って意味があるか否かはともかくとして、下表を目安としてください。

階層
危機意識を強く持つ者の構成比率
事業に関与する全役員会メンバ 
90%
事業に関与する全部長クラス 
75%
事業に関与する全課長クラス
60%