CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

フロントローディングに製品開発ができても商品が売れなければ・・・当然意味がないですよね!




■質問■

<前略>

弊社では、先生が機械設計誌で長連載を行われた、「グローバル競争を勝ち抜く “攻め”の設計改革講座」を拝読し、フロントローディング設計を実現すべく取組みを始めました。そして5年余りが経ち、態勢的に、ルール的に、手がける製品開発の殆どを、フロントローディングで行えるようになりました。

その結果、試作確認段階での手戻りが大幅に削減でき、また商品出荷後のクレームが大幅に減少できました。そしてフロントローディングに取り組んできた我々は、上層部や大株主などから、高い評価を頂きました。

しかしこの鼻高々な状況は、ほんの一瞬の喜びで、現在では針のむしろに座らされる状況に陥っております。その理由は、折角自信を持って開発した製品が、売れ行きが大幅に低下している事です。

一向に景気が回復しない国内市場はともかく、海外市場、特にその成長が著しい中国を始め、東南アジア諸国向け製品が、大幅にその売り上げ予測を割る結果となり、その原因がフロントローディング設計だと言うことです。

特に営業部門からの突き上げは強く、開発段階での仕様変更を、原則認めないルールが、商品の市場との乖離を招いているという、強硬な異論が大勢を占めてしまいました。このため上層部も、フロントローディング設計に関するルールの改善を行うよう、我々に求め始めた次第です。

一方、フロントローディング設計を推進した若手達は、「諸悪の根元は、フィジビリティースタディの質が悪いからだ」「そしてその質が上がらないのは、営業情報が余りにも貧弱だからではないか」「市場を全く読めていないマーケッティングにも、大きな責任がある」「自分たちのまずさを責任転化するな!」と息巻き、収まりません。

そこで先生にご教示願いたいのですが、これまでのご経験の中で、弊社と同じような状況に陥ってしまった製造業は、ございますでしょうか。またあった場合には、どのような手段で、この難問を乗り越えられたのでしょうか。

<後略>

■回答■

最初から私が手がけたケースでは、これまで御社と同様な状況に、陥ったケースはございません。しかし、貴社と同じような状況に陥ってしまっている状態で、私どもに助けを求めてきたケースが5例ほど(余り深くない問い合わせは更にあった)ありました。

そしてそのうちケースは、私どもの“現状診断” を受診頂き、問題が生じた原因、今後取るべき方向性などを、レポートさせて頂きました。そのうち一社は、私から提示された改革案を飲んで頂けず、診断だけで手を引かせて頂いたのですが、後の2社は私どもの支援の下、仕切直しに成功致しました。

“何をやったか”ですが、特別な特効薬はございません、現状診断で把握した拙さ度合いがひどく、重要度の高い順に、優先順位を付け、愚直に拙い部分を解消していっただけです。とは口では簡単に言いましたが、此処が一番難しいところですが。

貴社の場合、フロントローディング設計を推進した若手の皆さんから、問題を生じさせている原因の一端を、恐らく的確に指摘されております。これまでの私の経験では、これ以外にも、貴社文化に絡む難しい原因が、恐らく潜んでいるであろう予感はしますが、少なくとも、彼らから出ている問題指摘を、貴社の全社的課題として認知させることが、最優先で求められる手立てだと考えます。

そして若手からの問題指摘は、私の経験や貴社が現状で市場から受けている評価などから判断して、大きくはずれた物ではないと診ますし、貴社の多く方々が賛同できる指摘だと思います。にもかかわらず自分たちの拙さを、フロントローディング設計に転嫁する営業サイドの意識は、大きな問題と感じます。恐らく、貴社関係者全体の意識改革が、早急に求められているのではないかと思います。

端から見ていると、早急に手を打たないと、貴社も没落への急坂を、真っ逆さまに転げ落ちる状況に陥ると、強く危惧しております。

この現状を早急に手立てする方策は、弊社の“現状診断”を受診頂くしかないと思います。私どもの“現状診断”は、200件を超える実績の下に、第三者としての冷静な目で、貴社の問題点を暴き出しますので、強烈な説得力を持ちます。

私の営業的なお勧めになってしまいますが、貴社が今後短期間で没落を防ぐためには、選択肢は、これしかないと思います。