<前略>
5年ほど前にアドバイスを賜った者ですが、また厚かましいご相談を申し上げたく、お問い合わせをさせて頂きます。
先般アドバイスを頂戴した後、設計幹部を中心に、フロントローディング開発体制作りに取り組んでまいりました。そしてその際、先生のご指導を仰ごうと、私を始め数名の有志が動いたのですが、余り好調とも言えない当時の経営状況と、その後に襲ってきたリーマンショックのために、結局ご支援を頂く打診すらできない結果でした。
このため、当時機械設計誌に先生が連載をされていた「グローバル競争を勝ち抜く “攻め”の設計改革講座」を教科書にして、関係者が集って輪講をすることで、最終目標・計画策定作りなどを行い、取組みに着手致しました。
しかし、5年を費やしても、私たちの理解不足と実行力不足のためかと思いますが、フロントローディング開発体制作りと言う面では、はかばかしい結果を得ることができず、厚かましいお問い合わせをさせて頂いた次第です。
今度先生のご支援を仰ぐことができれば良いのですが、現時点で私の口から確約することも難しく、この問い合わせを先生のホームページに公表頂いても構わないという条件で、ご対応をお願いできませんでしょうか。
前回は、先生へのご支援依頼をちらつかせて、掲載をご容赦頂いたのですが、今回もとは参りませんでしょう。どうぞご自由にご利用下さい。ただし弊社の名前が判らないようにして頂くという条件付きですが。
さて前置きは以上に致しまして、弊社の現状を列記致します。
極めて断片的な現状のサマリーですが、数多くの製造業でフロントローディング開発体制確立を支援されてきた先生なら、これだけの情報でも、何が良くないのかを、洞察頂けるのではないかと思います。
この情報の範囲で構いませんので、今後の弊社の進むべき道をご指導賜れますと幸いです。
<後略>
まず私の連載を参考にして頂いておるなら、その内容の如何は何とも評価しようがありませんが、取り組むべきアイテムとしては、漏れはないと考えます。
しかし、ご提供頂いた情報だけでは、余りにも現状を推察できる情報が欠如しており、如何に場数を踏んでいるとはいえ、私からのコメントが的はずれに終わる危険性を感じます。かといって、現状を把握できる膨大な情報を頂いても、無料でのサービスコンサルというわけにも行かず、的はずれの場合はご容赦頂くことを前提に、下記する3つの問題点を指摘させて頂きます。
まず起こっている現象から察して、明らかに取り組むべき「フロントローディング開発体制確立」に対する及び腰や無理解が、その根元にあると見えます。大局的に見た総論「フロントローディング開発体制確立」には、異論を唱えようも無く、推進チームの号令に従っていても、それらを具体化する設計の進め方や、設計アプローチ方法などが、それぞれがてんでんばらばらなら、巧く進むわけがありません。
「フロントローディング開発体制確立」に最適・最短に至れる設計の進め方などを、推進チームは優先的に検討・検証して、全体から合意・認知を貰ったうえ、周知徹底することが、取組みへ最低限の手立てだと考えます。恐らく皆さんは、この部分を怠っていませんでしたか。パイロットプロジェクトはそのために行うはずです。
また**さん傘下で、パイロットチームが行った、パイロットプロジェクトの、進め方や成果の分析・水平展開のやり方に問題点を感じます。このプロジェクトは、周りから完全に浮き上がった状態で、その取組みを行っておりませんでしたか。
「元々優秀なやつばかりを集めたチームだから、できて当たり前」の仕事を、優秀な彼らの物差しで遂行したのであれば、一般的な設計者達に水平展開する際に、様々な問題が生ずるはずです。
これまで私が支援を行って来た取組みでは、少なくとも2回目のプロジェクトを回す際には、一般設計者達に、この取組みを水平展開する際に、何か問題が生じないかを、常に当人達に考えさせ、周りからは、この視点からの厳しいチェックを怠らない体勢で、取り組んで参りました。
他にも沢山ありますが、3番目の問題点は、関係者全員への「フロントローディング開発体制確立」への、目的の周知徹底の不足です。自社の状態に僅かでも危機を感じ、「自分たちの会社を強い物にしよう」と言う、僅かな意識さえあれば、改革への取組みに背を向けたり、妨害にも近い行為を繰り広げる訳がありません。
いずれにしろ、原点に立ち戻り、これまでの取組みの何が悪かったのかを、当事者であることを忘れ(脇に置いておいて)て、冷静且つ論理的に振り返ってみるべきです。恐らく上記した以外にもたくさんの、判断ミスや勘違いは見つかると思います。その上で、体勢の立て直しに取組むことをお薦め致します。
当然私どもの支援を、ご依頼頂ければ、短期間で軌道修正・成果会得へと結びつけさせて頂きます。