CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

経験のない新製品を的確かつ短期間に開発するには設計思考展開は使えるか?


■質問■

<前略>

現状の苦境を脱却すべく、弊社が持つ固有技術を応用した、未経験分野をターゲットとする新商品の開発を考えております。

しかしこれまで、顧客の顔が見える生産材を、専ら扱ってきた弊社設計陣にとっては、不特定多数の顔の見えない顧客を対象とした製品は、全く経験を持っておらず、また生産面でも、大量生産や資材調達面など、不安の種は尽きません。

しかしだからといって、商品を市場に出すまで試行錯誤を繰り返していたのでは、弊社の現状では体力的にとても苦しく、何が何でも、短期間一発勝負で、開発を成功させる必要があります。

そのためには、これまで我々が行ってきた製品開発の概念を超えた、全く新しいアプローチが必要ではないかと、年初より関係者が手分けをして、様々な専門誌や書籍を調べるとともに、これまで付き合いのあった大学の先生方や専門家などにも助言を求めて参りました。併せてインターネットを駆使できる者は、ネット上の情報収集も行って参りました。

そしてその結果、先生がご提案されておられます設計思考展開手法を用い、また先生がご提案されておられますフィジビリティースタディをしっかり行えば、我々の思いを叶える事ができるのでは無いかという、複数の方々の推薦や関係者からの提案があり、お問い合わせをさせていただいた次第です。

すでに先生のお書きになられた書籍、設計思考展開入門は拝読しており、概念的な者は理解できたのですが、具体的に我々が考える商品開発に適用してゆく場合の、具体策がなかなかイメージできません。

そこで質問ですが、弊社のようなケースで、先生にお出ましをお願いして、商品開発のスタート時点から、設計思考展開の活用方法やフィジビリティースタディの進め方なども含め、先生からのご指導を賜れるものなのでしょうか。

またこれまで先生がご経験されたケースで、弊社のような全く未経験な分野に進出しようとするケースでの活用事例は、ありましたでしょうか。

<後略>

■回答■

既にお読みいただいているかもしれませんが、本ホームページに、貴社と同様なケースで、」フィジビリティースタディ活用に関してのお問い合わせにお答えした、2009年10月9日に掲載分の例が御座いますのでまずは参照ください。

さて該当ページでも触れておりますが、私共の提唱する“FS(フィジビリティースタディ)”は、より稼げる商品を最大効率(徹底したムダの排除と工数・費用の最小化を目指した)、最短時間で開発するための手法です。

要するに、商品企画段階で、3年後5年後のマーケットニーズに外れのない商品性と品質を持ち、しっかり利益が出せる製造原価が実現でき、確実に所定の開発期間(なるべく短く)で開発が実現できる技術要件の範囲に、その開発仕様が追い込まれている様な商品企画を実現する目的の手法です。

一方私共の提唱する“設計思考展開(DPD(Design Process Deployment)) “は、目的の機械を設計する設計者の設計思考を、明確化し体系化する手法です。貴社においては、的確な商品仕様の追込みが済んだあと、その後に続く設計段階で、これまで該当製品において設計経験のない設計者達に、手戻り後戻りを犯すことなく、的確にその設計作業を、進めさせる道具になりうる手法です。

そしてこれらの“FS(フィジビリティースタディ)”および“設計思考展開(DPD(Design Process Deployment)) “を駆使することにより、私が予てより提唱している「フロントローディング設計」をスタートできることになります。

「フロントローディング設計」でほしい物は、整理された「設計意図」です。設計者自身が、その頭の中を体系的に整理出来ることが、まずその第一のポイントになります。

設計者達は、自分自身の頭の中を体系的に整理して、ビジュアルに振り返ることができると極めて都合がよいはずです。自分自身の考えの、矛盾点見つけることができるし、設計検討が不足している部分や、詰めの甘い部分を容易に探し出すことができます。

さらに、この展開を複数設計者が集まって用いると、お互いの考え方を、誤解や勘違いを犯すことなく、明確に理解できます。要するに、お互いの設計意図を理解しあえることになります。

そうすると、それぞれの設計者が持つ、思い込みや勘違い、配慮不足などを、お互いに的確に見いだすことができる様になる訳です。

自分自身だけでこれを行おうとすると、極めて難しい所です。そしてこれらに起因する“漏れ”を防止する事が出来るようになり、まさに問題を先送りしない設計が、実現できるようになるわけです。

特に貴社のような、未経験な分野にチャレンジするケースですと、関与する設計者全てが、その知見を最大限供出しあわないと、質の高い設計は実現できないでしょう。

また複数設計者の、頭の中を、体系的に整理して、ビジュアルに振り返ることができると言うことは、単に“漏れ”を防止するだけでない大きなメリットを生み出します。お互いの設計意図を認識し合い、お互いのノウハウやスキルが、共通の土俵に提供されると言うことは、今までにない新しい発想を生み出されることになる。要するに“三人寄れば文殊の知恵”のビジュアル版です。

このように設計思考展開手法には、商品開発に関わる、あらゆる関係者の知恵を結集し、これまでにない新しい創造を物にするツールとして、極めて有効に活用できます。

またこの機能を、フィジビリティースタディ段階でも有効に活用すると、質の高いスタディが実現できます。

と言うことで、ご質問に対するお答えとしては以下のようになります。


ご質問1

先生にお出ましをお願いして、商品開発のスタート時点から、設計思考展開の活用方法やフィジビリティースタディの進め方なども含め、先生からのご指導を賜れるものなのでしょうか。


回答1

喜んでお手伝いさせていただきます。これまでも多くの製造業様で、このような取り組みのご支援を、申し上げて参りました。恐らく、私どもがお手伝いするということは、単に手法の会得だけでない、大きなメリットを貴社にもたらすと思います。


ご質問2

これまで先生がご経験されたケースで、弊社のような全く未経験な分野に進出しようとするケースでの活用事例は、ありましたでしょうか。


回答2

上記のよう、少なからずございます。