<前略>
弊社では、既に10年以上、製品開発の中心になる、メンバの若返りを目指して、新入社員や中途採用者などの即戦力化のための、設計マニュアル作りに取組んでおります。
当初は、従来からの伝統的マニュアルを下敷きに、10年以上のベテラン設計者達にノルマを与え、これをアップデートする形での、マニュアルメンテナンスに近い構築作業からのスタートでした。と言うより、バブル崩壊後の混乱で一時途絶えていた、マニュアルメンテナンスを再開したと言う言い方の方が妥当かもしれません。
そして従来から行われてきた仕組みに従い、これらを基に若手設計者や派遣設計者達に仕事を覚えさせ、徐々に戦力化することを、大きな混乱も起こすことなく、続けることができておりました。
しかしこの十年ですが、生産拠点の海外移転に伴い、開発拠点の海外化を推進し始めたところ、あたりまえの話かも知れませんが、それまでの仕組みがうまく機能しなくなってしまいました。
国内の開発拠点でこれらのマニュアルを使う際には、設計ノウハウや勘所に関わる部分は、それぞれの装置を、長年手がけたベテラン設計者達に教えを請えば、大抵の場合その問題を容易に解決できました。当然言語的な障害もなく、ベテラン勢は若手にそのノウハウを伝授できるわけで、何か取り立ててマニュアルに工夫をしなければならない不都合はありませんでした。
また企業ノウハウの流出に関しても、これから育てようと思う若手と、ただ力仕事をこなして貰えばよい派遣設計者などとでは、ベテラン勢は心得ており、その教え方を切り替えることで、何の不都合もありませんでした。
ところが海外の開発拠点では、それまで国内ではうまくいっていた、ベテランが若手にそのノウハウを伝授する部分で、大きな障害が生じたわけです。
海外の開発拠点には、当然何名かのベテラン設計者が、主にマネージャとして配置されているのですが、彼らがあらゆる装置の設計ノウハウを熟知しているわけではなく、また彼ら経由で国内や他の出先にいる、対象装置を熟知しているベテラン設計者に、問い合わせを入れ、処理することは、その業務掌握上も余り現実的ではなく、結局現地スタッフのやりたい放題に陥ってしまうケースが、頻発するようになってしまいました。当然、ノウハウを無視しての設計ですから、基本的な部分で様々なトラブルが頻発している状況です。
そこで7年ほど前から、ノウハウや勘所までも織り込んだ設計マニュアルができないかと、様々な調査を行うと共に、ベテラン勢に対しては、やはりノルマを与え、従来の設計マニュアルにノウハウや勘所を付加するように求めて参りました。
しかし、この取組みが思いの外難しく、見た目にはそれらしく仕上がった、ノウハウを付加した設計マニュアルが、実際に使ってみると、使い物にならない代物ばかりという、状況に陥っております。バブル崩壊後のリストラを経て、今残っているベテラン勢が本当のノウハウを持っていないのか、本当は持っているのだが、出し渋りをしているのかは、判別できませんが、とにかく海外開発拠点の現地メンバーに言わせれば、「こんなマニュアルなら肝心なところが一向に分らないから、失敗を繰り返すのだ」と開き直られる始末で、何か良い方法は無いかと探し回った結果、先生が提唱されておられます「設計思考展開」手法に辿り着いた次第です。
先生の提唱されておられます「設計思考展開」手法は、弊社のような状況の製造業の、弊社のようなニーズに有効に活用できるものでしょうか。
<後略>
はい、「設計思考展開」手法を提唱している目的の一つは、まさに貴社の様なニーズに応えるためです。
詳しくは私の著書「「設計思考展開」入門」(日刊工業新聞社刊)をお読み頂きたいのですが(既にお読みかも知れませんが)、本手法は、それぞれの企業が持つ製品の、工学的なあるべき姿を、論理的に解きほぐし、継承技術・固有技術、即ち設計ノウハウや・勘所を、論理的且つ体系的にまとめ上げる手法です。
要するに対象製品に対する「設計思考展開」を完了すると、成果物として設計ノウハウや・勘所が、論理的且つ体系的に網羅された設計マニュアルが出来上がると言うことです。
しかし貴社の現状において、この手法が有効に活用できるか否かという話になると、甚だ疑問です。少なくともお問い合わせ頂いた状況と、私がこれまで関わってきた、様々な製造業(200社以上)の実態を重ね合わせると、貴社には、貴社製品に関する、本当の意味での継承技術や固有技術を、伝えることができるベテラン設計者が、既に残っていないのではないかと診るからです。
このような読みから察するに、お問い合わせでは巧く行っていると仰られる、国内設計部署における若手とベテランとのノウハウ伝授も、本当のところは、巧く行っていないのではと、疑っております。
また、20年前に退職したベテラン勢でも、私のこれまでの経験では、貴社との関係が良好でありさえすれば、半分以上の方々は、ノウハウ抽出や勘所把握の役に立つ筈です。しかし伝え聞くバブル崩壊後の貴社生き残り施策は、このような良好関係にあるベテラン勢を、皆無に近い状況にしてしまっているはずです。
仮に私のこの読みが的を射ているなら、私の「設計思考展開」手法を導入頂き、私が集中的にその活用指導を行ったとしても、徒労に終わる可能性があります。なぜなら、本当の意味での継承技術や固有技術を持っていない設計者崩れを何人集めても、肝心のノウハウや勘所が出てこないのなら、無駄な時間をただ漫然と費やす結果になってしまうからです。
ただ唯一、貴社が持つ本当の意味での継承技術や固有技術は、過去から蓄積されてきた図面や製品に残っております。これを基に継承技術や固有技術を、再構築して行くしかないでしょう。費用は大きくかかりますし、期間も馬鹿にならない筈ですが、私にお任せ頂ければ(前払いで)、再構築して差し上げます。そうしないと恐らく10年後の貴社は、存在しないと言う事になってしまうでしょうから。
一方、再構築を行った後の、“設計ノウハウも織り込んだマニュアル”活用方法にも、危惧を持ちます。まさか海外の現地設計要員に、そのまま開示するつもりではないでしょうね。
言わずも、わかっておられるとは思いますが、“設計ノウハウも織り込んだマニュアル”を現地スタッフに開示すると言うことは、貴社の継承技術や固有技術を、世の中に無償で開示すると、同じ意味を持つからです(特に中国などでは)。私にご依頼頂ければ、このあたりも踏まえながら、ご支援申し上げます。
********************************************************************************を味わってきました。
******************************************************************************************************************************私などには、とても理解できないレベルでの深い物を感じます。
********************************************************************************結果としては安くつくはずです。
**************************************************************************************************************************おります。話の持って行き方次第では、彼らの力を巧く活用できるのではないかと思います。