CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

フロントローディング設計体制確立を成功報酬契約の形でお願いできないか


■質問■

<前略>

いずれは来たるであろう景気回復時、競合他社をぶっちぎりで先行するために、フロントローディング設計体制の確立を、今の内に実施しておこうと考えております。

そこで、最短且つ効率よく体制確立ができないか思案を巡らせ、インターネットや書籍など様々な情報を収集するとともに、出入りのコンサルタントやIT業者などからも聞き取りを行って参りました。

その結果、貴殿がフロントローディング設計と言う考え方の最初の提唱者であり、各所で実績を残して来られているらしいとの結論に達しました。

また、IT業者などによると、貴殿が手がけた案件以外でうまく体制確立ができている例を見たことがないとの情報も把握いたしております。(コンサルタント達は、自分たちもうまく立ち上げてきたとアピールするのですが、その内容を詳細に聞くと、眉唾ものに思えてなりません。)

また先週末には、たまたま時間的な余裕があったため、自宅で貴殿のホームページを熟読させて頂き(生憎読ませてもらえないページがたくさんありましたが)、貴殿のお考えを充分理解できたと思います。また、貴殿が定義されている製造業のあるべき姿は、全く御説の通りだと思います。

そして許されるなら、貴殿の力をお借りして、弊社でも短期間でフロントローディング設計体制の確立を図れないかと考えるのですが、予算措置をどのように持って行こうか思いあぐねております。

なぜなら、これまで弊社は貴殿とは全く接触が無く、当然弊社に対しての貴殿の実績がない中で、IT業者などの評判だけを拠り所に、恐らく安くない予算を緊縮財政の今、上層部がすんなりと承認してくれるか否かの不安があるからです。

そこで無謀なご相談ですが、もし上層部からはかばかしい答えを得られない場合、フロントローディング設計体制確立へのご支援を、成功報酬契約の形でお願いできませんでしょうか。不躾なお問い合わせで申し訳ありません。

<後略>

■回答■

はい、私どもが設定しております条件を、貴社(フロントローディング設計体制確立を目論む事業部門)がクリアーできれば、通常契約に比べると割高(3〜10倍)になりますが、成功報酬でご支援をお受けすることは可能です。

但し、貴社(対象事業部署)に対して、私どもの“現状診断”を有料で実施させて頂けることがまず大前提になります。 “現状診断”を実施させて頂けますと、貴社(対象事業部署)の持つ強み弱み、問題点などをつぶさに把握できます。その上で当方が策定・提示致します実行計画に則り、貴社が対応できるという確約を頂き、約束を反故にされた場合のペナルティーを保証頂ければ、成功報酬でご支援可能という事になります。

一方現状診断の結果、当方の定義する条件と経験的に所定の期間で体制確立が困難と思われる場合には、診断報告段階で、「ご支援を成功報酬で申し上げることは叶いません」と言うご報告を申し上げます。

尚、“現状診断”実施を大前提にさせて頂くのは、これまで全く接触の無かった貴社に対するご支援ですので、当方がリスク回避を行う上での当然のお願いとご理解下さい。

また余談ですが、“現状診断”の実施は、成功報酬ではない通常のご支援の場合でも、必須でお願いをしております。ご依頼先の状況が、どのような取組を行っても巧く行きそうもない場合に、ご支援をお受けして、途中で頓挫して「失敗でした!」では私どもの信用に関わります。さらに私どもの失敗ケースとなり成功率が低下してしまい、その後のビジネスに差し障りが出てしまいますので。

成功報酬でお受けする場合には、さらにもう一つ重要な大前提があります。上で、「成功報酬でフロントローディング設計体制確立をご支援申し上げる」という趣旨の記述を行いましたが、正確には成功報酬でこれらの取組を実施させて頂く場合には、“ご支援”と言う従属的な立場ではお受け致すことは叶いません。

なぜならば、フロントローディング設計体制確立は、生半可な取組で叶うような簡単な取組ではありません。貴社関係者が一丸となって体制確立に邁進しないと叶う取組ではありません。また、このような取組に貴社内の様々な習慣・経緯・都合が優先してしまうようでは、取組はたちどころに停止してしまいます。強い意志を持った誰かが、強力なリーダーシップを持って主導的に取組を推し進めなくては巧く行かない取組だからです。

成功報酬でのご支援で無い、通常のご支援では「貴社の取組姿勢を変えてくれなければ、取組は頓挫します」などとして途中で態勢変更を迫ったり、中断をご提案しても当方売り上げへの被害は軽微で済みます。ですから必ずしも私どもが強力なリーダーシップを取って主導的に取組を推し進めなくても済むのですが、成功報酬の場合はそうは参りません。

このような観点と、20年各所で同様な取組を行って参りました私どもの経験から、貴社組織上の役職などは何でも構いませんし、その形態はどのような形でも構いませんが、実施的な権限として、主体的に取組を指揮・監督できる権限(予算執行権・人事権など)を私どもに付与頂く必要がある事を申し添えます。

ちなみに直近で取組を成功させたケースでは、部長級一名と課長級三名、さらに数名の中堅スタッフで構成される“フロントローディング開発態勢確立プロジェクト推進チーム”を、事業本部長直轄で組織頂き、私は特命事業本部長補佐という形でそのチームを差配する形態を取らせて頂きました。