機械の基本性能は機構(運動)!
設計の品質は機構(運動)解析ツールをフルに活用して十分な追い込みを
機構解析プログラムを使用した機械の基本性能の追い込みを
機械にはそれぞれ目的が有り、動力源を持ち、必ず動きを伴うもである。そして、その目的に対し目標性能が求められている。だから当然機械を設計するものは、その動きにより目標性能を満足すべく、機械構造や機構装置を考案配置しなければならない。機械を設計するにあたって、ここの部分は何を置いても実現しなければならない、最初の関門である。
対象になる機械装置の動きが、遅い場合は、その動きに依る慣性力の問題や、振動の問題はあまり生まれてこない。しかしその動きが速くなるにつれ、それが機械の目的性能や、耐久強度、使い心地等に対して、大きく影響するようになってくる。産業革命当時に生まれ、継承されてきたミシン機構のように、長い時間が、経験則と言う方法により、贅肉を取り払った、極めて合理的で、美しい機械を作り上げた例もある。しかしこの経験則は、人力に倣う入力回転速度から、急激な高速化を狙った瞬間、全く役に立たなくなった。
それでも、航空機や自動車のように、絶えず高速化・軽量化などの戦いを歴史的に続けてきた製品では、それなりの対処方法もある程度は有った。しかし近年特に求められるようになった、走向安定性や乗り心地の向上要求は、机上でのバネ&マスモデルでもこれまでなんとか凌げてきた、自動車の設計技術を様変わりさせた。これは、近年高速加工化が進められる工作機械にも言えることであり、その他多くの機械がこの様な変換期を迎えている。
ADAMSやDADSなどの機構解析のプログラムは、その名が示すよう、元々は機械装置のリンク機構の動きやその動きに伴う各部の反力、その動きに伴うリンク系としての振動挙動を求める目的で生まれてきた。そしてこれらが自動車のサスペンション設計や、さらには自動車全体の走向性能追い込み、航空宇宙問題などに活用され始めたことにより、一挙にその使い勝手が上がり、適用の範囲も広がった。そして現在、この種のプログラムの多くは、リンク系だけに止まらないあらゆる機械装置の、動きを伴う(動的・静的)挙動解析に用いることが可能なように育っている。
具体的に例を挙げると、物体の落下衝突(器機の落下問題、コインの投入etc)問題、連続物体の搬送(紙送り、チェーン挙動etc)問題にまでその適用範囲は広がっている。当然、物を投げるような、従来運動方程式を立て行っていた問題もカバーできる。