現状の弊社における製品開発は、先行メーカに対して、ひたすら仕様追従しか出来ない状況があり、その商品開発効率や開発品質を著しく低下させております。
しかも技術の仕込みの無い状況下で、先行メーカの仕様に追いつくべく、技術開発を行いながらの商品開発と言う、分かっているのですが、このまずさも相俟って、商品開発における設計効率を著しく悪化させ、質の低い状態に陥らせております。
そこでお尋ねしたいのですが、このような問題を解消している製造業では、どのような基準で開発仕様決定に際して採用しても良い新方式・新技術を選別しているのでしょうか。
一般に“勝ち組”に分類される殆どの製造業では、“先行技術の仕込み”、“ＦＳ（フィジビリティースタディ＝実現可能性確認・予備調査）”がしっかり行われております。顧客要求仕様に対して、既に仕込みの終わって（目処が立って）いる技術の中から、最も適した技術をまず選び出します。そしてこれらの技術を組み合わせて、本当に顧客が要求する“物”が出来るか否かを検証します。
その検証手段には関係者が集まっての“ブレーンストーミング”から始まり、ＣＡＥのシミュレーション技術を駆使する場合、原理試作モデルでの実験アプローチを主体とする場合などそのアプローチ方法は千差万別です。しかし最近では私どもが提唱し、今回の改革案の中でも、必須の取組としてご提案致します“フロントローディング設計“や”ＤＰＤ手法“を採用頂き、物を作らずとも、短期間でフィジビリティースタディを仕上げる取組が各所でなされております。
“先行技術の仕込み”が無い、“フィジビリティースタディ”の行なわれない開発仕様決めや開発着手が何故まずいかは、説明するまでもないと思いますが、参考までに簡単に説明を致します。
過去に経験の無い方式（技術）、フィジビリティースタディが行われていない技術（方式）は、単なる絵に描いた餅にしか過ぎない技術です。たとえその技術が、アイデアを出した本人に取って惚れ惚れするアイデアであろうとも、何らかの形で実現可能性が裏付けられていない限り、私どもがこれまで関わってきた商品開発のプロセスの中では、“絵に描いた餅”と言ってそのまま取り上げる事を許しません。
「その様なことをしていたのでは新しい技術を生み出すことは出来ない」という異論が出てくることは十分承知しております。しかし私どもは、このようなアイデアを、かたくなに取り上げるなとは決して申しておりません。このようなアイデアの枯渇は、企業競争を勝ち抜いてゆく製造業にとって命取りになります。このようなアイデアをなるべく出しやすい環境を作ってあげることも重要なことです。ですから「そのまま取り上げる事を許しません」と申しておるのです。
ではどの様にあれば取り上げるかですが、答えは簡単で、主に以下に挙げる４ケースが、その取り上げて良いケースになります。
ご質問で頂いた情報からは、十分に読み取れませんが、私共のこれまでの経験から、貴社には「根拠に基づいた市場把握と先を読んだ商品仕様決め不在」なのではないかと感じます。
本ホームページのフィジビリティースタディに関する解説の中で、これらのあるべき姿を語っておりますので参考にしてください。
２００８年２月８日掲載分にも、同類の質問がありましたので参考にしてください。