CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所


新商品開発段階でのフリーディスカッションでは何故「一切他の人の発言を遮ってはならないのか




■質問■

私の講演に際して行ったアンケートで、用紙に記載された質問事項の転載を致します。

<質問事項>

新商品開発段階でのフリーディスカッションでは何故「一切他の人の発言を遮ってはならない。当然否定・非難は厳禁」なのでしょうか。

■回答■

私が関わる、新商品企画・開発の目的・範囲・制約事項を明確に位置づける作業では、出来るだけ多くの関係者(設計部署だけではなくコンカレント開発を担う全メンバ)が参加する中での、フリーディスカッションで行うパターンが一般的です。

公演中にご説明したシーン想定も同時に行われる場合が多い。さらにシーン想定には、開発関係者のみならず、社員の家族などを含め、広い範囲で対象商品に関わるあらゆる年代の人を集め、自由に意見を出して貰う形態を取っています。

尚このようなフリーディスカッションを行うと、他人の発言を否定・非難したり、自分の考え方を遮二無二押し出す人が必ず出てきます。

しかし私が提唱するDPD(設計思考展開)を行う際の、最も重要なルールは、「一切他の人の発言を遮ってはいけない。当然否定・非難は厳禁」です。

ただし余りにもくどい発言については、進捗の効率を考え、司会者の役割を務める人がセーブを掛ける事だけは許しています。

尚フリーディスカッションは、プロジェクター等を用いて、展開内容を記入するエクセルシートなどを、参加者全員が見ることが出来る状態で行うことを、私が関わるケースでは原則としています。

さて、何故「一切他の人の発言を遮ってはならない。当然否定・非難は厳禁」するかは、DPD(設計思考展開)を用いる目的が、そこの参加する技術者の思考プロセスを明確にし体系立てて記録することにあるからです。例えばアイデア出しの段階で参加している設計者が、自分のペースで思考を進めている途中で、その上司がその価値観で、設計者の思考を停止させてしまったのでは、良い思考が出なくなってしまいます。

特に新しいアイデアを模索している設計者は、他の人には思いつけないような、唐突な思考をその過程では行う可能性もあります。特に画期的な創造につながるような、発想を生み出す場合です。