CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所


メカ・エレキ・ソフト設計の連携不調は何故起こる




■質問■

私の講演に際して行ったアンケートで、用紙に記載された質問事項の転載を致します。

<質問事項>

御講演の中でメカ・エレキ・ソフト設計の連携不調を防ぐ方法の説明がありましたが、連携不調は何故起こるのでしょうか。

■回答■

今更始まった話ではないのですが、メカ・エレキ・ソフト開発の連携が悪くて、開発が遅延したり、品質不良を引き起こしている例が相変わらず多くみられます。可動部分が割合少なく、メカの動きも緩やかなAV器機や家電製品などでは、それほど問題にならないのですが、それ以外の比較的動きの激しい各種製品では、これらの連携不良がその開発効率の良否を左右します。

「メカが出来ないとソフトに着手できない」「ソフトが出来ないとメカを実際に動かしての問題出しが出来ない」「具体的仕様やメカが固まらないので回路が決まらない」「回路が決まらないから基板が決まらない」「基板が決まらないから基板周りのメカが決められない」等々、とてもまともな製造業と言えない状況にある製造業もありました。

これらに該当する製造業においてまずその原因になるのは、開発仕様決定段階での詰めの甘さと、その時点における、メカ・エレキ・ソフト開発担当者達の、開発仕様に対する理解度の低さです。

開発仕様の詰めが甘いということは、開発途上における開発仕様の度重なる仕様変更を引き起こし、開発納期の制約から、どうしてもモグラ叩き的な低品質設計に陥ってしまいます。そうするとエレキ・ソフト開発者達には、どうせやり直しになるのだから、メカが固まるまで、自分達の着手は待とうという状況に陥り、上記したような3すくみ的状況を引き起こすことになります。これでは効率の良い高品質な製品開発など到底無理であり、出たとこ勝負の出鱈目開発を繰り返すことになります。

これが、該当事業に関わる全メンバーの、知恵と経験及び知識を総動員して、徹底的に理詰めで、可能な限り多角的な視点・視野で、検討を加えた開発仕様であるなら、後はその仕様に従って、淡々と設計作業を進めれば済むことになり、決して途中で開発仕様の変更など生じ得ません。

仕様変更が生じ得ないと言うことになれば、メカ・エレキ・ソフト開発の担当者達は、待つことなどせず、安心して先手を打って自分が担当する部分を進めることになり、上記した3すくみなどという状況は発生しえないことになります。

さらにメカ・エレキ・ソフト開発担当者達の開発仕様に対する理解不足は、本来狙うべき設計性能や設計品質とは異なる視点でそれぞれの作業が行われて、その結果見た目だけの設計仕様で開発終了という、煮え切らない開発を引き起こしてしまいます。

仮に彼らが、開発仕様の狙いを的確に理解しており、さらに自分が受け持つ範疇を超えて、製品全体の設計の狙いや具体化策を理解していたら、上記した例にあるような待ちの状態は、絶対に起こりません。各自が自発的に、関連する設計者達と逐次緊密な連絡を取り合い、それぞれの要求や都合を鑑みた設計作業を、先手を打って進めることが出来るからです。