■回答■
私がこれまで200件を超える現状診断で把握した、コンカレント開発が巧くいっていない状況とは以下のような状況です。
- 開発設計の前工程である商品企画の段階は、営業部署や事業部などが主導で、一方通行の商品企画が商品開発部署に流れてくる状況。
- 開発設計の後工程である“物作り”や“品質保証”“アフターサービス”は、量産設計が終了するまで、「商品開発は設計の仕事」と嘯いて、「量産図面が出るまでは俺たちの出番ではない」と待ちの状態でいる状況。
- 本来なら開発着手以前にその精度を上げておくべきである“試算”作業は、開発を担当する設計者達が、過去の部品単価を元にペンを舐め々弾き出している場面に頻繁に遭遇する状況。
- いざ量産段階に入り、「設計が弾き出す量産原価予測は、当たった例しがない」と非難の矢面に、開発設計部隊がたたされている場面を頻繁に見かける状況。
- 「図面が無ければ量産原価の見積もりなど出来るわけがない」「だから図面が出来るまでは俺たちの出番ではない」と、後工程からの自己を正当化しようとする言い訳を、よく耳にする。
- コンカレント開発など無頓着な後工程の輩達は、量産直前の量産試作の段階になると、「これでは作れない」「これでは組みづらくてやっていられない」「調達先の設備では、このような加工は出来ない」等々と、膨大な設計変更要求を出してくる状況。
- 「試作は試作で、量産段階でどうせ変わるのだから、この段階で設計変更要求をしても意味がない、時間の無駄だ!」「設計とは、本来物作りのことを考えて最適な設計を行うべきであり、それが出来ない設計に時間を割いてつき合う筋合いはない」などと嘯いている状況。
- 他。
要するに、先手を打って自工程での最適化を、設計途上から織り込ませようとする意識が欠如している製造業がコンカレント開発が巧くいっていない製造業といえます。
先手を打って自工程の最適化を設計途上から織り込ませる事が、後工程の責務であり、これからの製造業が勝ち抜いてゆくためには必須の要件である事を、これらの製造業は理解できていないと言うことだと理解しております。
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