私の講演に際して行ったアンケートで、用紙に記載された質問事項の転載を致します。
<質問事項>
先生がお考えになられているFSの参加者をもう少し詳しく具体的にお教え下さい。
私が提唱するFS(フィジビリティースタディ)では、図1に示すように、これから開発しようとする商品に関わる全ての部門メンバーの積極的な参画を求めています。そしてそれぞれの部門に対して求める全体審議への出席者は、各部門長(代理も含め)及び、各部門長が指名した該当商品の開発担当者、それぞれの部門における各種エキスパート達です。
ここで言うエキスパートとは、各部門において“その道のプロ”と目される様な人材です。例えば商品企画部門なら、マーケットリサーチにおいて、社内では他に右に出るような人物がいない様な人を指します。設計部署なら各機械装置に最も長けた設計者、構造解析や各種実験計測手法を駆使して、自らの設計を行っているような設計者など、様々な技術分野でのエキスパート設計者達を指します。同様にものづくり部門なら、原価算出のプロや自動組立機のプロ、金型設計製作のプロ、さらには製造部門の職長・班長達、さらには購買・調達のやり手達等を指します。
私が講演で申した「各部門長が指名した該当商品の開発担当者」とは、設計部署のメンバーだけと思われたかもしれませんがちがいます。一般製造業の概念ですとそう思われて当然です。
しかし私が講演で申した、「各部門長が指名した該当商品開発担当者」とは、事業に関わるあらゆる部門に、それぞれ開発案件毎に置かれた担当者を指しています。
これは、既に述べた私の提唱する“コンカレント開発”の基本的な考え方に基づいた要求です。私は常々、各支援先に対して、「営業、設計、生産技術、生産管理、資材、検査、製造、サービス、経理、人事など、極めて幅の広い部門(ものづくりに関わるあらゆる部門)の有機的な組織活動により、常に“良い設計の品質”を“最大限の効率を持って”生み出す事が出来る、実力を持った組織に変革すること」を求め続けております。そしてこの要求は、この私の考え方に基づいたものです。
尚上で述べた「エキスパート達を参集させられればそれに越したことはないが、彼らは優秀な故、極めて多忙でとても参集させられない」と言う反論が必ず出ます。
しかしFSに彼らが持つ知恵・経験・知識を充分につぎ込んで貰えると、彼らを日々煩わせ、時間を割かされている様々なトラブルの、その根元を絶つことになります。結果的には、彼らが後ろ向きな処理業務に費やす工数は大幅に減少することになり、FSにつぎ込む工数を大幅に捻出できることに成りますのでご安心下さい。