CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所


製品開発期間を短縮するために人海戦術を用いるのは誤り




■質問■

私の講演に際して行ったアンケートで、用紙に記載された質問事項の転載を致します。

<質問事項>

講演の中で、「製品開発期間を短縮するために人海戦術を用いるのは誤り」と言うお話がありましたが、もう少し詳しくこの辺りを補足説明頂けませんでしょうか。

■回答■

開発期間が短いということは、旬な商品を的確にマーケットに供給していく、投入していくためには、必須の条件です。ただ、それだけの目的で、人海戦術を繰り返し、垂れ流しに膨大な費用を使い続けても良いのかと言えば、これはNGです。誰でも冷静に考えれば当たり前の話と言えるでしょう。

なぜなら、垂れ流しに膨大な費用を使い続けると言うことは、企業として稼げなくなるからです。民間企業は、利益を出してなんぼの組織です。利益が出なければ話になりません。そのためには期間を縮めると同時に、当然の事として、開発のコストも下げなければだめと言えるでしょう。

開発のコストを下げると言うことは、発売直後から設計変更を繰り返すような、問題を後でダラダラ垂れ流す部類の開発をもって、開発そのものの直接費用を減らしても、それではコストを下げたとは言いません。当然の事ですが、十分な商品性を持って、よく売れる旬な商品の開発が仕上がり、それが販売され十分な収益が得られるまでの、トータルのコストが下がらねば、私の言う開発のコストを下げることにはなりません。

一般的な製造業の場合、開発が完璧な形でそのゴールに至るまでには、様々な紆余曲折を経る事が普通です。開発に関わるメンバー達の見込み違いや判断ミス、そしてつまらないケアレスミスや手抜きなどがその大きな原因です。そしてこの紆余曲折は、対象商品の開発コストを結果として押し上げることになります。私が上で述べた“開発のコストを下げる”と言う意味は、これら紆余曲折までを含め、且つ発売後に発生する後ろ向きの費用も含め、全てのコストを下げろと言うことです。