CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所


開発途上で仕様変更を起こさせない開発仕様の決め方(補足回答)




■質問■


7月1日に掲載した「開発途上で仕様変更を起こさせない開発仕様の決め方」の回答に対して、下記のような再質問を受けましたので、補足説明を致しました。このため補足分を追加掲載致します。



<前略>

早速の御回答ありがとうございました。関係者全体の意識改革が必須なことは理解できましたが、意識改革の後、具体的にどのようなアプローチで、開発途上において仕様変更を起こさせないように、開発仕様を決めてゆくのでしょうか。

<後略>

■回答■

私が以前より提唱しております“FS(フィジビリティースタディ)”の徹底です。

私が提唱するFS(フィジビリティースタディ)では、開発途上で仕様変更を起こさせない開発仕様を、徹底的に追込み作り上げてゆくことを要求しているからです。

私がFS(フィジビリティースタディ)を提唱して、その徹底を唱える目的は、各製造業が、“旬でよく売れて稼げる商品”を的確且つ最短なコストで開発できるようになるためです。

“旬でよく売れて稼げる商品”を、最高品質かつ可能な限り低コストに、さらに最大効率で商品開発を行おうとしたときに、その取組を妨げる最大の要素に“開発設計途上における仕様変更”があります。このような仕様変更が、設計途上で頻繁に行われると、設計品質を大幅に低下させることになります。

何故なら開発途上で行われる“仕様変更”は、期日までに仕上げねばならない設計作業を、振り出しまで戻してしまうことが少なくないからです。

しかし多くの製造業では、仕様変更により、本来なら振り出しにまで戻さなければならない設計を、戻すこともせず、中途半端な小手先仕事で辻褄合わせをしている例がほとんどです。そしてその結果として、低品質な魅力の無い製品しか、開発できないような悪循環に陥っております。

FS(フィジビリティースタディ)は、この開発途上での“仕様変更”を防ぐ為の、決定的な切り札です。切り口を変えてみると、FS(フィジビリティースタディ)は、開発する商品のQCD(品質・コスト・納期)が、バランス良く成り立ち、お客様に喜んで頂ける商品となるように、徹底的にその仕様を追い込む取組です。

さらに補足すると、私が各所で展開しているFS(フィジビリティースタディ)への取り組みでは、対象商品に対する構想設計作業の、殆どの重要意志決定部分は、この段階で行われております。ある意味、設計の根幹をこの段階で終わらせ、後は機械的に粗相無く、この段階で決められた設計計画に従い、淡々と設計作業を進めればよい態勢を実現しております。

このため、私の求めるFS(フィジビリティースタディ)では、一般的な製造業で行われているような、設計部署だけ、若しくは営業部署と設計部署だけで、その内容を詰めるようなスタディでは無く、開発に関わる全関係者が、持てる知恵や経験を総動員して、徹底的に開発仕様を揉むことを求めております。

限られた狭い範囲(関係者)でのスタディは、必ず漏れを生じさせ、必ずどこかで破綻を来たし、結果として開発仕様の変更を余儀なくされますので。

そして開発に関わる全関係者が、持てる知恵や経験を総動員して、徹底的に開発仕様を揉み、成果に結びつけるために、関係者全体の意識改革が必須となるわけです。