CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所


設計思考展開を用いて新製品を開発したがその販路確保に苦労している




■質問■

<前略>

先生が御提唱されております設計思考展開手法を用いて、弊社が持つ技術の棚卸、強味・弱みを明確化したうえで、強味を生かした新製品を開発いたしました。製品詳細は添付いたしました資料を参照ください。

またこの新製品の開発仕様決定に当たっては、ご著書の要領に従い、製品の使用シーンの想定から、あるべき姿を追い込み、常に設計思考展開を用いながら、製品開発を進めてまいりました。我ながらなかなか良い出来栄えだと自画自賛しております。

しかし問題は、販売段階で大きな壁が立ちはだかりました。これまで弊社独自での製品販売を行ったことがなかったため、モノを売るルートが皆無です。

そこで出入りの機械商社や鋼材商社などに、実際の製品を見せたうえで、製品の優位性などのプレゼンテーションを行い販路の開拓を依頼したのですが、捗々しくありません。すでに半年が過ぎてしまいました。

そこで藁をもすがる思いで、幅広くご活躍されておられます先生でしたら、何か良い方法をご経験されておられるのではないかと思い、問い合わせをさせていただきました。

<後略>

■回答■

「設計思考展開」手法をご活用いただきありがとうございます。また本手法を独自でご活用いただき、製品開発に漕ぎ付けられたことには、深く敬意を表します。

さてお送りいただいた製品の用途は、製品の使用シーンで十分検討をされておられると思います。そうすると、その製品がどのような販売店で売られると、皆さんが想定したエンドユーザの目に触れ易いかが、容易に見当がつくのではありませんか。

しかし販路の確保の場面で苦労されると言うことは、何故だと思いますか。皆さんが行ったアプローチでは、製品の使用シーン迄はしっかり詰めているのですが、その製品が本当に売れるのか、幾らなら売れるのか、どのように売ればよいのかがすっぽり抜け落ちております。これまでの貴社の経験からしてやむを得ない事かもしれませんが、まさにプロダクトアウトそのものの、商品企画アプローチだったと言うことです。

と言うことは、販路確保の前に、今現在の製造原価で本当に売れるのか、の詰めが必須と考えます。その上で販路確保のアプローチ、という流れになるでしょう。

わたくしの目から見た結論的には、外部委託販路は農機具販売店とホームセンタだと思います。直接的販路としては、ウエブ販売です。今ではこの手の商品も、ウエブ販売で良く扱われるようになってきましたので。

そしてこれらに対して、皆さんが直接営業活動を行うべきと考えますが、それ以前にやることがあると言うことです。

ご依頼頂ければ、皆さんが行ったアプローチ内容の検証、及び抜けている部分の補完などの、ご支援を申し上げることは吝かではありません。

また、本来の私の業務範囲ではありませんが、20年以上の経験の中には、直接農機具販売店と接触した経験や、ホームセンタの商品企画の方々と接触した経験もございますので、必要とあれば販路確保の場面でも支援可能です。