<前略>
弊社では製品開発途上で頻繁に開発仕様変更が起きて、開発期限未達や見切り発車による品質不良やクレームが一向に減りません。
理念的には、仕様決定段階で徹底した仕様の詰めを行い、フロントローディングでしっかりした設計を行えば良いとは分っているのですが、何れもなかなかうまく行きません。
特に開発途上(特に一次試作ができた時点で)営業サイドから、「こんな性能やスペックでは売れない」「競合他社に比べて見栄えがしない、これでは売れない」等苦情が出て、開発仕様変更を頻繁に求められます。
また製造サイドも、この試作を作る時点になって「こんな形状では加工効率が悪くて駄目だ」「こんな仕様の部品は手に入らない」など、初めて自分たちの都合を言ってきます。
先生が20年近く前にお書きになられた「コンカレントエンジニアリングによる設計の改革術」を参考に、DRをルール化して、開発の最初の段階から全部門参加で揉んでいるはずなのですが、実際に物ができたり、具体的に自分たちに役割が回ってくるまで、人ごとのような姿勢で対応してきます。
弊社のこの悪しき習慣を何とか改革しようと、これまで様々(**手法、@@メソッド、$$法・・・)な取組にチャレンジしてきたのですが、いずれもうまくゆきませんでした。
注)問い合わせには、具体的な取組手法の記載があったのですが、質問先が特定される可能性がありますので、此処では伏せます。
これまで様々な製造業をご覧になられてこられた先生におかれましては、弊社のような状況から改革を行った例をお持ちではないかと思い、問い合わせをさせて頂きました。何か良い手はないでしょうか。
<後略>
頂けた情報だけでは、本当の所の貴社状況は読み取れませんが、20年以上に渡るこれまでの私の経験を加味して貴社の問題点を類推して診ました。
まず最大の問題点は、貴社に置ける製品開発に関わるメンバー(開発・設計部門だけではなく、商品企画・営業・生産技術・製造・購買・品質管理他)が、自社の製品開発に置いて、己が果たさなければならない役割を、的確に認識できていないことに尽きるのではないでしょうか。「開発は設計の仕事、図面が出てきてから俺たちの仕事は始まる・・・」「物ができてみなければ商品性の評価などできない・・・」等の意識が大手を振ってまかり通っているのではないでしょうか。
また貴社の体質は、「入れ物を作りました、要員を揃えました、ルールを作りました、道具を揃えました・・・後は自分たちで考えて塩梅良くやって!」の体質ではありませんか。
これでは、幾ら掛け声を欠けても改革が進むはずがありません。
このような体質を打破して、本当の意味での強力な開発態勢を実現するためには、貴社における現状の悪さ具合を限りなく具体的に把握して、その結果を関係者達に伝えることで、危機感を持たせるしかないと思います。
また悪さ具合とその度合いにより、改革のアプローチは変わって参りますので、このためにも、弊社の現状診断を受診されることをお薦め致します。