CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所


どうしても垂直立上げが出来ない・・・もの作り部門の徹底した意識改革しか無いのでは?




■質問■

<前略>

弊社では、先生が2005年より21回にわたり機械設計誌に連載された「グローバル競争を勝ち抜く “攻め”の設計改革講座」を参考にさせて頂き、フロントローディングを核にした設計改革、製品開発改革に取り組んで参りました。

そして約10年、商品企画から量産出図までの工程ではそれなりの成果を得られるようになったと自負しております。しかしいざ量産開始の段階に至って、製造及び調達側都合による設計変更要求が一向に減らず、最悪の場合商品仕様まで関わる設計変更を余儀なくされる場合もあり、前工程で実践できたフロントローディングを台無しにされるケースが頻発しております。

製品開発スタートのフィジビリティースタディーからDRやミニDRにまで、生産技術、製造、調達、生産管理、及び品質保証、フィールドサービスなどの参加を義務づけ、各部門の都合を積極的に要求させているのですが、この時点での後工程側都合の見逃しが多く、上記の結末に至っております。

そこで先生が本ホームページで本年3月に掲載された、「垂直立上げの秘訣は量産出図後一定期間は製造側都合による設計変更を認めないこと」を元に、関係者一同で議論を重ね、5月初旬からは、実際に幾つかの新製品でトライをしてみたのですが、散々な結末に終わっております。組立や加工不能が多発し、また調達不能部品が幾つか生じて、量産を開始できない始末です。

原因的には、開発初期段階から量産出図迄の間に、後工程のメンバーが設計内容をしっかり吟味して、後工程側ニーズや都合を要求して設計に織り込ませたり、設計内容の拙さをしっかりチェックしてあれば生じない問題です。

様々なレビュー段階で参加する後工程メンバーの目が節穴と言ってしまえばそれまでですが、現実論としてはこの壁を乗り越えない限り、我々の狙いが到底実現できないと言うことになります。

そこで是非お教え頂きたいのですが、先生が手がけておられた様々な製造業様では、この問題をどのように解消されてこられたのでしょうか。

<後略>

■回答■

結論的には、“もの作り部門の徹底した意識改革しか無い”と言えるでしょう。

何故なら、目が節穴の後工程メンバーしか様々なチェックポイントで参加して来ないと言うことは、彼らを送り込んでくるそれぞれの部門の責任者達が、真剣に設計改革、製品開発改革に取り組んでいないとしか言えないからです。

製造業の生命線である、新製品開発における様々なレビューに、各部門のエースを送り込まずして、新製品開発改革など成立しないはずです。

貴社規模では各部門に適性人材が存在しないとはとても思えず、恐らくそれらの部門責任者の自部門業務に対する優先付けの結果、“目が節穴メンバー”しかレビューに参加しないと考えるからです。

現状では、後工程の部門長達は、面従腹背の姿勢で新製品開発改革に臨んでいると言うことです。まずは此処にトップダウンで手を入れるしかないと考えます。

余談ですが、各部門に“目が節穴メンバー”しか存在していないと言うことでしたら、新製品開発改革は諦めるしかないと思います。