<前略>
弊社では、オープンイノベーションと言う言葉が使われ始めた5年ほど前から、新規プロジェクトなどを通じてチャレンジしているのですが、その効果をなかなか実感できず、本格的な取組に至っておりません。
短期間に、マーケットニーズにマッチした高品質な製品を開発して、市場に投入するには良い考え方だと思うのですが、外部との協調や、知恵やノウハウの取得に様々な障害があり、此方の考え通りに話が進まず、捗々しい結果を残せません。
アップルのように外部に対してその要求を強く押しつけるほど、実績が無い弊社の要求など、彼らにとっては優先度的に低く、笛吹けど踊らずの結果に終わってしまいます。
この辺りをうまくクリアーして、オープンイノベーションを物にする良い方法はありませんでしょうか。
<後略>
お送り頂いた資料などを拝見すると、“他人の褌で相撲を取る”姿勢が見え見えの取組と診ました。しかも新規で協力を仰ごうとしている、極めて高度な技術を持った中堅の部品メーカなどに対して、恐らく貴社がこれまで古くからの協力企業に取ってきたであろう、同じ姿勢での高圧的な態度を端々に感じます。
かつてのDELや、現在のアップルのように、確実に膨大な売り上げが期待できる相手なら、少々高圧的に来られても、外部協力側も我慢できるでしょう。しかし、これまで付き合いも無く、売り上げ期待も眉唾な貴社の要求に対して、素直に応ずる訳が無いことは、私から指摘されなくても理解するべきです。
この手の取組が巧く行くのは、あくまでも両者がギブ&テイクがあることを共通の認識として持てる時だけです。協力を仰ごうとする先が、実感を持ってテイクがあると判断できない限り、貴社と真剣に付き合いを持とうとしないと言うことです(当たり前の話ですが)。
仮に、最初は貴社の企業規模に期待して、先行投資的に貴社に付き合ってくれる協力先を確保でき、最初のプロジェクトが貴社的に巧くいったとしても、協力先に期待以上の大きなテイクを残せない限り、貴社の姿勢のままでは、長続きしないはずです。
あと、お送り頂いた資料で判断する限り、貴社における商品企画の甘さ(詰めの甘さ)を強く感じます。これでは協力を仰ごうとする先が、真剣になれる訳がありません。厳しい言い方をさせて貰うと、これまで私が各所で取り組んで来た内容と比べると、詰めが甘いどころか、大人と小学生くらいのレベル差があります。
貴社が協力先に期待したメーカさん達は、殆どが百戦錬磨の強者達です。恐らく貴社の詰めの甘さを端から読み取っており、この詰めの甘さでは、この商品開発は巧く行かないと言う判断のもと、貴社からの要求に対する優先度を、低くしているのだと思います。