CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所


ブラック派遣設計者の中には隠れた逸材がいる、即戦性を諦めれば下手な大手経験者より優秀な設計者確保の近道




■質問■

<前略>

円安基調と海外拠点の安定化をうけて弊社では、今後の飛躍を狙い大幅な人材確保(中途採用による即戦力確保)に乗り出しております。

当面は戦力強化による売上高の大幅向上が目的ですが、近い将来迎える主力設計者の大量退職(定年退職)への対処が主たる目的です。

バブル期に大量採用した50歳代設計者が現在の製品開発の主力を務めており(リーマンショック後の大量リストラでは、彼らは年齢的に対象外であったため)、65歳までの雇用延長を考えても10年後には、大幅に設計者が減少することが見えておりますので。

しかし実際に採用活動を行ってみると、なかなか弊社が求める人材が見つからず、私などは100人面接して一人もOKが出せないような状況であり、ほとほと疲れ切っております。

各所で人材育成などの支援をなされている先生でしたら、弊社のような状況を打破する術をお持ちになられているのではないかと思い、問い合わせをさせて頂きました。

<後略>

■回答■

貴社にあった即戦力にフォーカスして、人材確保に取り組んでいるから適任者が見つからないのではないでしょうか。

技術的や経験的にはあるレベルをクリアー出来ていても、異なる文化で育った設計者達は、面接等の場面で貴社が求める受け答えを、貴社の面接官が気に入るように出来るとは限りません。

特に即戦力というフィルターが掛かった場合、貴社にいる同年代の優秀な設計者が面接官の頭の中にあり、その者を物差しとして採用候補者を評価することになりますので、どうしても厳しめの評価になるのではないでしょうか。

お問い合わせの内容を拝読すると、貴社が行っている採用活動の主たる目的は、10年後に大幅に減少する主力設計者の穴埋めと診ました。でしたら、即戦力にこだわる必要は全くないのではないでしょうか。

応募者の経験よりも、持っている工学センス、設計センス、頭の良さ、人間性などにウエイトを置いて、人材そのもののポテンシャルを評価する方法に変更したら、大幅に採用候補者が増えるはずです。

極端な話、10年かけて育てたら、自社の期待する設計者に育ってくれるかを、最大の判断基準とするわけです。

またこの基準で採用活動を行うと、採用対象の絶対母数が大幅に増えます。今貴社が採用対象としてフォーカスしている対象母数は、大手の類似業種(若しくは類似業務)の経験者だけの筈です。

これでは、企業経営を失敗して大幅リストラを行わざるを得ない状況に陥った所が無い限り、余り優秀な人材が採用マーケットに流れてこないはずです。

しかし10年がかりで育て上げると腹をくくると、その範囲は大幅に広がってくるはずです。例えば機械系の設計者を求めるなら、機械工学や精密工学などの機械系学科の卒業生が全て対象になってきます。

特に期待できるのは、知らずしてブラックな人材派遣会社や、設計・開発下請け会社に入ってしまい、そこからの脱出を目指している者や、就職戦線に敗れ運悪く非正規の路に踏み込んでしまった者達です。

この20年、工学系の就職環境は必ずしも良かったとは言えません。とは言って地方の勤務先は嫌だとばかり、知らずしてブラックな人材派遣会社に就職したエンジニア候補生が膨大に存在致します。

私の経験では、育てることを前提にしたときには、彼らの中には相当数の期待できる人材が紛れ込んでおり、下手に大手企業で丸投げ設計に染まってしまってしまった者達より、ダントツに良く育ってくれた事もありますので、是非チャレンジしてみて下さい。