CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所


若手設計者を即戦力化する手段



■質問■

<前略>

弊社では、かねてから弊社独自のカリキュラムで、若手設計者の育成を行って参りました。

そのあらましは、配属後半年間は個別設計チームに配属をせず、専任インストラクターの下、2D図面の読み書き(弊社では2D図面を衝としているため)、基本的なCAD操作、機械工学など弊社製品開発で必要とする基本工学(復習?)、CAEの基本操作、弊社製品の基本的構造・機能・設計の考え方、弊社製品顧客のニーズなどを、独自カリキュラムに従いみっちりたたき込みます。

その後、各設計チームに配属後半年間のOJTを経て、設計者としての向き不向き評価を行い、設計者向きの者は、希望(本人・各設計チーム責任者双方の)する設計チームに配属、不向きの者は、それぞれの得意不得意を示して、引き取りを希望する他部署に転出をさせます。

そして残った者達には、配属された先の業務を行わせながら、入社3年次、入社6年次目標の到達レベルを示して、各自自助努力での目標到達を要求しております。

当然自己研鑽に必要となる、社内講座、社外研修、社外講習会、教材などは、過去の経験に従い準備してあり、自己申告で、自業務に支障のでない限り、自由に受けさせる、若しくは強制的に受けさせる(配属先マネージャー若しくは部門教責任者命令で)仕組みが準備してあります。

しかしこれだけのお膳立てをしても、若手設計者達の成長がはかばかしくなく、様々な模索を行っているのですが、はかばかしくありません。特にこの10年はうまく行きませんでした。

そこで他社では、どのような育成方法をされておられるかを調べようとインターネット検索をしていたところ、貴社のホームページに行き当たりました。大分以前から大手各社の設計者育成を手がけておられるようですが、弊社のようなケースもあったかと思いますが、そのケースではどのような改善を行われたのでしょうか。

<後略>

■回答■

詳細が把握できませんので的外れな回答になるかもしれませんが、過去経験した記者同様なケースを念頭に置いてお答え致します。

**さんは50歳代だと思いますが、**さんの新入社員時代から“若者の理工系離れ、製造業離れ”が起きていたことを、承知されておられると思います。その上少子化はどんどん進んでいることも、承知されておられると思います。

まず大前提が、このような理由で、製造業の設計部門に配属されて来る、設計者候補生達の質が、大幅に薄められていることを、理解しなければいけません。

しかしその中にも、光る玉や、磨けば光る原石が、僅かながら含まれているはずです。これらの急速に戦力化して欲しい優秀な人材と、普通の石や、役に立たない石の候補生達を、半年もの間、一緒に教育を行う非効率を早く気付くべきでした。半年以降も同様で、恐らく配置先のマネージャーや本人の丸投げの自助努力だったと思います。

質が薄くなる前の貴社規模の製造業でしたら、今貴社が取られている教育方法でも、育つべき人材は育ち、ある一定人数は即戦力化していたと思います。しかし今では無理な筈です。

まずは配属以前に、全理工系新入社員に対して個別ヒアリング(私が関わるケースでは一人30分〜60分)を行い、設計者としての向き不向き、各自が持つ工学力、各自が持つ潜在力などを可能な限り把握するところから始めて下さい。この結果を用いて、設計者向きの人材に絞って配属を要求する流れになります。

そして配属後は、本人の能力、得意不得意、性格などを個別に把握して、個別の育成カルテを作成し、このカルテに従って育成を行う流れになります。本人の能力、成長度合いの把握は、入社8年までは、基本的には3ヶ月おきに行うべきです。

具体的な能力把握方法や、カリキュラムの作成方法などは、以下のページを参照下さい。


追伸)

人材が不足する中、普通の設計者達にもそれなりに働いて貰わなければなりません。このためには、貴社が持つ様々な設計情報などを、共有して即座に活用できる仕組みも必須です。これに対しては、次の方法で対応して下さい。