<前略>
弊社では、3DCADを導入して10年以上経ちます。その結果、2DCADの時代には図面が読めず殆どお客さん状態であった設計者上がり以外の参加メンバーも、積極的にDRに参加するようになって参りました。極めて喜ばしいことです。
しかし此処で「設計思想」に対する理解度差の問題が生じて、度々混乱が生じるようになってしまいました。
原因としては、全てではないのですが、口下手な設計者が、開発仕様を満足するために行った自己の設計結果に対する説明を、うまくできないところがまず上げられます。
そして的確に「設計に対する考え方」が説明されないために、参加者それぞれがてんでにバラバラな理解をして、それを元に議論を行う物ですから、話のすれ違いを生じ、議論が混乱してしまうわけです。
そこで何か良い手段や手法がないかと探していたところ、御貴殿が提唱されておられます「設計思考展開」手法に行き当たりました。この手法は弊社のような問題を解消するツールとして用いることが出来るのでしょうか。またその際はどのような用い方をされておられますでしょうか。
<後略>
はい、使えます。
と言うか、私がご支援申し上げて来た製造業では、「設計思考展開」手法を、DRを行う際の必須の道具として用いて頂いております。DR以外でも意志の摺り合せが必要な場面では、あらゆる場面での必須コミュニケーションツールとして活用頂いております。
参考に、デザインレビューで「設計思考展開」を用いて議論を進める際の、会場の座席配置の例を紹介します。
正面には、大きめのスクリーン3台とPCプロジェクターを用意して、中央の画面には、DR審議テーマの設計者達が行った設計思考の内容を記した、DPD(設計思考展開)表を映し出します。
そして左右いずれかの画面には、3次元CADによる設計結果を、説明内容に従ってリアルタイムで表示します。
さらに、残りの画面には、設計検討に用いた、様々な検討結果(没にした設計案、CAEシミュレーション検証結果、検証根拠資料、マーケット情報、競合情報、参考技術情報、特許情報など)や、審議途上で必要となり検索を行うウエブサイトの情報、さらには、審議途上で補足作成解析される、様々なCAE解析モデルやその解析結果など、審議を円滑に進める上で必要とされる、あらゆる情報を映し出せるようにしておきます。
会場に広いスペースを確保できる場合には、プロジェクターの台数が4台5台となるケースもあります。
座席配置は、特に細かい決め事はありませんが、概ね次の考え方に従って貰う場合が一般的です。
なぜ最前列に役員・部長クラスを着席させるかは、教室方式の座席配置の場合には、何処の企業でも、中央の最前列が上位者の定席である事がその理由の内にはありますが、主たる目的は、後ろに座る若手設計者達に、発言をしやすくするためです。
また該当商品開発に強く関わるメンバを、最前列に着席させるのは、各々が持参するノートPCを、プロジェクターの画像切り替えBOXに接続しやすくするためであり、この辺りの環境に制約がない場合には、その着席位置にこだわる必要はありません。