<前略>
弊社は、部品供給先の生産拠点海外展開や、海外メーカに対する部品供給増加に伴い、現地の同業メーカを買収する形で、海外における製造・開発拠点の拡充を行って参りました。
そしてこれまでは、買収先が従来からラインアップ化していた製品については、それぞれの開発拠点が持つ固有技術を用いてそれぞれが開発を行い、我々がラインアップ化していた製品については、国内開発拠点で開発を行い、図面を供給する形での現地生産を行っておりました。
ところがここに来て開発拠点間のグローバル連携により、より高度な付加価値の高い製品開発を行おうとする経営方針が下され、その仕組み作りに取掛かっているところです。
この取組を行おうとしたときには、各開発拠点が持つ固有技術を徹底的に洗い出して、形式知化した上でマニュアル化して、全開発拠点がそれぞれの固有技術を共有活用できる仕組みに仕上げる必要があります。
しかしここで問題になるのが、他社に圧倒して弊社が持つ、コア技術流出の問題です。流動性の高い海外開発拠点の設計者達が、これらのコア技術を持ち出す恐れです。
マニュアルや図面を物理的に持ち出す防止策を打つことは出来ても、各人の頭の中に入ってしまったコア技術に対しては、為す術がありません。特に特許でも抑えきれない、考え方や勘所の部分です。
そこで幅広く多くの製造業に関わってこられました先生のご見解をお聞かせ頂きたいのですが、コア技術まで含めてグローバル開発連携を行う取組は、有りでしょうか。
<後略>
無しです。
他に対して圧倒的な強みを持つコア技術は、絶対に海外に開示してはいけません。国内でも信頼度が高い設計者以外には、触れさせてはなりません。この辺りを疎かにして、痛い目を見た製造業を沢山見てきましたので。
私はこれまで様々な製造業で“技術の棚卸”を行なって参りました。そしてこのような課題に対しては、技術の棚卸の結果を用いて、保有する技術の重要度の階層化を行い、絶対に守るべきコア技術を確定して参りました。
貴社に置いてもこのような取組が必要と考えます。
尚、コア技術に関わる製品開発は、全て国内の信頼できる設計者達に担わせ、それ以外の部分(重要度の低い固有技術も含め)海外に任せる施策で、十分生産性の高い開発態勢を築けると思いますが。