CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

自社製品の機械のあるべき姿や物理の法則に則った原理原則が把握できていないと質の高い製品開発が出来ない例を紹介する(7月10日の続き)



先々週より紹介をしているが、サラリーマン時代に接触があった某製造業にお邪魔して、サービスコンサルティングを行って来たので、その一部を紹介する。一部の内容を、本ホームページに紹介しても良いという前提でのサービスコンサルティングである。

まず対象の製造業は、大型産業財(機械)を製造している、戦前からある大手企業である。

この製造業において行った一連のヒアリングで設計者達に接して強く感じ、驚かされたことは、本来なら把握していて然るべき自社製品の、機械のあるべき姿を自分なりにでも良いから把握出来ていない点であった。さらに各要素機器(作業機・動力伝達系等)における、物理の法則に則った機械・機器の原理原則が把握できていない、若しくは継承出来ていなかった。

モデルチェンジを行う都度発生する様々な品質不良の原因は、まさにここにあると診た。油圧脈動音問題、機械周囲の騒音問題、熱による変形&加工精度不具合問題、フレーム部部の疲労破壊問題など、同じ問題をどの機種でも起こしている。機械のあるべき姿や原理原則が押さえてあれば、モデルチェンジの都度失敗を繰り返すわけがないはずだ。

恐らくかつて対象事業部隊には、一家言あるスパーエンジニアが幾人もいて、それぞれが把握した機械のあるべき姿や物理の法則に則った原理原則の持論を戦わせ、切磋琢磨しながら良い製品を開発していたに違いない。そしてこのスパーエンジニア達が残した遺産が、この事業部隊の稼ぎ頭の製品群であったに違いない。それでなければ、きわめて高度な技術を持った競合メーカが跋扈する、厳しい市場競争の中、とうの昔に弾き出されていたに違いないからだ。

そして本来ならば、それ以降このあるべき姿の追求を、弛まなく続けて来なければならなかったにもかかわらず、いずれかの時点で断絶させてしまったようだ。

ヒアリングを通じて把握できた様々な問題において、機械のあるべき姿が理解されており、それを的確に考慮した設計がなされ、評価確認がされていれば、恐らく起こらなかったであろう問題点を多数把握した。