<前略>
弊社では、すっかり低下してしまった製品開発力を復活すべく、連休以降専任プロジェクトを設けてその計画作りを行っております。この20年来続いた外注や派遣で間に合わせてきた製品開発態勢が、開発力低下の元凶と考えて、この部分での対策を真っ先に行おうと考えております。
各所で多くの設計改革などのご経験を持つ先生に、お尋ねしたいのですが、我々の取組で押さえるべきポイントは何でしょうか。
<後略>
極めて漠然としたお問い合わせですので、一般論でお答えするしかないのですが、以下が私の考えであり、押さえるべきポイントと考えております。
ますます厳しさを増すグローバル競争の中で、我が国製造業が勝ち抜いてゆくためには、強靱な体力(開発力・生産力・販売力)を持っていることが必須で求められます。世界中の顧客に喜んで購入・使用いただける、高性能・高品質・低価格な製品を投入し続け、しっかり稼ぎ続けることができる体力です。
このためには、生み出した適正利益の中から、将来(5年〜15年先)を目指した的確な先行投資(先端技術の仕込み・優秀な人材の確保育成・工場用地や先端設備などの確保など)を行うとともに、ともすれば崩壊しようとしている自分たちの足下(商品・製品開発力の低下=設計力の低下)を、しっかり固めることが最優先で求められていると考えます。
まさに貴社は、足下が危うくなっており、それに気付いての体力復活&強化の取組と理解します。
このためには、冷静に自分達の現状を把握分析して、何が拙く、何が不足し、何に優れているのかを明確にしたうえで、拙いところ、不足している点に対して優先順位を付け、地道に問題解消を行ってゆく取組が必須と考えます。具体的には、技術の棚卸し、人材の棚卸し、関係する事業全体の現状診断などを緻密に行うことです。
一方継続的に体力維持を行ってゆくためには、所定ポテンシャル以上の人材維持が必須で求められます。このためには従業員の雇用形態としては、終身雇用を前提に考える必要があります。特に知的作業の集合体である商品設計・開発・さらには物作りの勘所は、それを担う人材如何でその体力に大きく差が生じるためです。
しかし、業績貢献と連動しない年功序列には賛同できません。少なくとも“働かない人間”“仕事を作り出す人間”“周囲の業務の足を引っ張る人間は”利益追求を目的とする民間企業としては不要な人間(人材ではない)です。このような人間にまで闇雲に応分以上の賃金を与え続けたり、在社年数だけでポジションを与えるような、愚は絶対に行わないでください。