CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所


製品開発初期段階におけるコスト予測の精度を上げたい



■質問■

<前略>

弊社ではこの20年あまり、製品開発段階におけるコスト予測の精度を上げる取り組みを行って参りました。

具体的には、時々刻々変化する原材料の最新原価テーブルと将来予測テーブル、既存部品の原価テーブル、各種加工費用のデータベース、類似部品の原価予測システムなどを構築し、これらを活用して開発の節目ごとに原価予測を行う仕組みを作り上げてきました。

弊社製品の性格上、新製品といえども90%以上の部品は従来品を採用するために、極端な原価予測ミスは犯さないのですが、いざ量産段階に入いろうとするときに、微妙に目標原価に届かず、最悪は原価割れを起こすため、急遽設計変更をせざるを得ないケースが多発しております(試作確認後の設計変更は、本当は好ましくないのですが・・)。

そしてその原因を追求したところ、原価予測を誤った部品の多くは、新規図面を用いた新部品で、まだ部品構造や形状が漠然とした開発初期段階での見積もりが、どうしても大雑把になってしまうためであることまでは突き詰めました。

しかし原価予測のプロたちも、「製品構造や形状が決まらなければ、正確な原価予測などできるわけがない」と、さじを投げてしまうために、この状態で手詰まりという状況にあります。

そこでおたずねしたいのですが、このあたりの精度を上げる秘策はありませんでしょうか。

<後略>

■回答■

秘策はDR0の段階で、精度高く原価見積もりを行えるレベルまで、粗々の基本設計を詰めることです。

私が提唱しているFS(フィジビリティースタディ)では、商品企画段階から構想設計着手を要求しております。

なぜなら、ある程度具体化された設計がなされていないと、原価は基より製品が要求される各種スペックや強度・耐久性などの各種性能、物作りの都合、本当に売れる商品なのかの商品性などを、的確にスタディ及び評価ができないからです。

具体化されていない中でのスタディ及び評価は、参加者それぞれが、自分の価値観で自分の頭の中に描いたイメージで議論を行うことになりますので、議論が発散してしまったり、声の大きな参加者の発言に、議論が収束するような結果に終わる傾向にあります。そしてこれを防止するために、上記のような取り組みを要求しております。