<前略>
弊社はこれまで某業種を中心として、昔から弊社が得意とする製品(部品)群の供給、これら製品のカスタマイズした製品の受注・供給、客先から依頼を受けた派生製品の開発・受注・供給、もしくは単発的な受注製品供給を、ビジネスの根幹にして参りました。
しかし待ちの姿勢だけでは今後の展望は開けないと、弊社の得意技術を活かしたコンシューマ商品を新開発しております。
しかしこれまで、一般消費者への商品販売の経験を持たない弊社にとって、その価格付けをどうするか、その販路をいかに開拓するかなど、手に負えない課題が山積されております。
そこでお尋ねしたいのですが、どのような点に注意して、どのようなプロセスでその販売価格を決めてゆけばよいのでしょうか。
<後略>
ご質問の内容からまず心配になったのが、どのような検討が行われ、どのような検証・審査が行われて、新商品開発に至ったかが説明頂けていない点です。おそらく開発終盤に入り、売値はいくらにするか、どのような販路で売るかを真剣に考え始めた結果の、お問い合わせだと思います。
恐らくマーケットリサーチなどを全く行わない、典型的なプロダクトアウト型製品開発ではなかったでしょうか。
私どもに限らず、新商品の開発は、以下の点を前もって徹底的に検証した上で、その結果に見合う開発仕様を決め、製品開発に着手することが原則です。
そして私どもはこのような取り組みをFS(フィジビリティースタディ)と名付けて、各所で緻密な商品企画を実施していただいております。貴社においては、今更と思われるかもしれませんが、上記項目を漏れなく検討・検証し直されることをお勧めいたします。そうすれば自ずと販売価格は決まってきます。
当然検証には、実際にマーケットから拾った、具体的かつ定量的なデータを用いて行ってください。
お声掛け頂ければ、ご支援させて頂くことはやぶさかではありません。
追伸)
価格付けに対するお問い合わせでしたので、以上のような回答を行いましたが、さらに重要な疑問点があります。
貴社がコンシューマ商品を新たに市場投入して、新規ビジネスを模索する目的は何でしょうか。
既存のビジネスの利益率が悪いため、収益率の高い新規ビジネスを確立する目的ですか。既存ビジネスの売り上げがダウンしたため、余った固定費を振り向ける目的での取り組みですか。もしくは自社のブランドイメージを高める目的ですか。この目的によっても価格付けの判断基準が変わってきます。
余裕がある中での新規事業展開なら、最悪スタート3年で単年収支をイーブンにできればよい、という価格付けができます。また余剰の固定費を遊ばせない目的でも、最悪単年収支がイーブンで充分なわけです。
ブランドイメージ向上の目的なら、少々の赤字はかまわないという判断もあるかもしれません。
しかし一方、収益率の低下を補う新規事業展開だと、話は大きく変わり、絶対に高収益を出さなければならないわけで、自ずとその価格も変わる問いことです。