<前略>
恐らく「あれほど警告したのにも拘わらず、馬鹿なリストラのつけが回った結果だ!今更打つ手は無い!」と、すげないお答えが帰ってくることを覚悟で、藁をも縋る思いで問い合わせさせて頂きます。
現在弊社は、円安の影響もあり景況も大きく上向き、攻めの体制に入ろうとしております。そしてワールドワイドマーケットを席巻すべく各仕向地向けに戦略的な商品を一斉に投入しようという話になったのですが、開発責任者から、「1/4を対応するのが精一杯です」と、居直りとも取れる発言をされてしまいました。
この20年来リストラを推進した経営中枢の面々は、設計外注会社や派遣設計者をかき集めれば対応できるだろうと、現場を全く理解しようとしない脳天気な反応を示して、話が噛み合いません。「若しくは、中国や韓国メーカにOEMさせればよいだろう!」と迄言い出す始末です。製造業が持つ固有技術や継承技術などの重要性を全く理解しない発言です。
この問題に関しましては、開発部門出身の役員達が、代々その重要性を経営中枢に説いてきたのですが、話術に長けた者もおらず、その都度論破され、左遷・リストラの憂き目を見て参りました。恐らく私も、現在の地位は風前の灯火と言ったところでしょう。
とは言っても、このままでは明らかに弊社の生き残りは無理と思われ、早急になんとしてもそれなりの開発要員を確保して、ワールドワイドマーケットを席巻できる製品開発を、ものにしなければなりません。何か良い手立てはありませんでしょうか。
<後略>
恐らく、この20年来続いた貴社経営中枢の人脈を一掃しない限り、貴社が生き残ることは無理でしょう。その上で、不足する人材の補充と言うことになりますが、これも一筋縄で行く話ではないはずです。
何故なら、これまで無節操なリストラを行って、貴社に致命的な欠陥を生じさせてきた当事者達が、何ら責任を取らず、安穏とその権力を維持できていたのでは、幾ら優秀な人材を揃えることが出来ても、再び調子が悪くなれば安易なリストラ(人員整理)に走ることは必定で、優秀な人材の定着がままならないことになります。
それ以前に、招聘しようとする人材達から拒否されるでしょうし、中途採用募集への応募もままならないはずです。
ですからこれまで安易に人員整理を行ってきた責任を明確にして、退任や処分を行うと共に、その理由と処置内容を公にすべきです。そしてこれからは、“人を大切にする”方向に転換することを明言したうえで、既に退社したメンバへの謝罪と復帰の呼びかけを行うと共に、同業他社経験者の大々的募集を、様々なメディアを通じて行うべきでしょう。
貴社が今早急に集めようとしている人材が存在するかの観点では、私は楽観的な見方をしております。これまで貴社同業他社でも、積極的な(でたらめな)人員整理をしており、貴社文化とそりが合うか否かは別として、貴社が求めている人材が、多く野に埋もれているはずです。
さらに有力な人材という意味では、これまで貴社から追い出されたベテラン勢に復帰願うことで、短期間で必要人材を揃えることが出来るでしょう(貴社の反省を快く受け入れて貰えた場合ですが・・・生半可な反省や謝罪では通じないはずです)。