<前略>
弊社では様々な場面で「設計思想」と言う言葉が飛び交います。しかし私も含めベテラン勢さえ、それぞれが定義する「設計思想」が区々で、これが若手育成の場面で支障を来しております。
そこで、この分野に知見をもたれます様々な方々にご意見を伺い、私共なりの「設計思想」とは、を定義しようと考えております。
そこで誠に不躾ではありますが、先生のお考えになられます「設計思想」とは何かをご教示頂けますと幸いです。
<後略>
広辞苑で定義される「設計(design)」とは、ある目的を具体化する作業。製作・工事などに当り、工費・敷地・材料および構造上の諸点などの計画を立て図面その他の方式で明示すること、とあります。
一方「思想(thought)」とは、判断以前の単なる直感の立場に止まらず、このような直感内容に論理的反省を加えてでき上がった思惟の結果(思惟:心に深く考え思うこと≒思考)。思考内容。特に、体系的にまとまったものをいう、とあります。
そして私は、各所で設計部署の質向上や生産性向上の取組を行うに当り、この「設計思想」が明確にされていなかったり、体系立てて説明できない設計成果もどきが、これらを向上させる障害となると判断して、「設計思考展開」手法を提唱致しました。
と言うことで、私の立場でご質問の「設計思想」とは、私が提唱した「設計思考展開」手法を用いて、設計の思考過程が明確に展開し尽くされた結果が、それぞれの設計テーマに対する「設計思想」と考えます。
当然「設計思考展開」手法を用いて、設計の思考過程が明確に展開し尽くされていなくても、何らかの設計書で同等レベルの説明が成されていたり、設計者の頭の中に即座に説明できる状態で保存されているものも「設計思想」ですが。
設計思考展開につきましては、拙著「設計思考展開入門」日刊工業新聞社をお読み下さい。