<前略>
現在弊社では技術情報データを除き、サーバ管理コストの削減や災害時などにおけるデータ消失を予防するため、外部の分散データ保管サービス業者を使う方向で動いております。
一方技術情報においては、その漏洩の危険性を考えると、クラウドサービスの利用には様々な不安があり、なかなか踏み切れません。
しかし経営サイドからは、今後の管理コストの削減を考えたときには、クラウドサービスに移行すべきと(情報システムサイドの横やりがあり)強く要求があります。
そこでお尋ねしたいのですが、多くの大手製造業を手がけておられます先生の認識では、図面をはじめとする技術情報データ管理にクラウドサービスを用いても良い時期に来ているとお考えでしょうか。またこれらの製造業ではどのような対応をされておられるのでしょうか。
<後略>
現在私の意見を聞いて頂ける先では、未だ一件も移行しておりません。但し将来に向けての検討作業は、怠ることが無いよう強く申しております。
明らかにクラウドサービスを活用した方が、自前でサーバ管理を行うより安くつき、経営的な視点では、積極的に移行すべきと言う判断は、決して誤りではありません。
しかし、ワールドワイドマーケットで勝ち抜いてゆく製造業にとっては、自社が持つ技術情報は、決して他に漏らしてはならない最重要機密です。この部分での信頼度が、現時点で提供されているクラウドサービスでは、未だ大丈夫だという確信が得られないために、上記したような対応をして頂いております。
確かにサービス提供各社では、暗号キーなどを用いての情報漏洩対策技術を謳っております。私の知見でも、技術的にはこれらの技術が、ブラッシュアップされてきていることを認めます。
しかしこれらのシステムやサーバ管理には、必ず人間が介在します。国家規模レベルや国際的大組織で、特定の情報を盗み出そうとしたときは(現実にこのような行為の事実が各所で囁かれており)、暗号キーなどは、全く役立たない安全策に陥る可能性があります。
この部分の懸念が解消できない限りは、図面をはじめとする技術情報データ管理にクラウドサービスを用いることは、時期尚早といえるでしょう。
尚ご依頼頂ければ、貴社経営層や情報システム部門を納得させることが出来るレポートを提供できます(当然有償で)。