<前略>
弊社の現状は、世渡りだけで出世競争を勝ち抜いてきた経営者達が、本来堅持しなければならない技術継承を途絶えさせたと考えております。
私が設計者として成長盛りだった20〜30年前の部門長達は、戦略的に私たちを育てていたと思います。
あえて難しい仕事に失敗することを承知で我々を投入して、その失敗を克服してはい上がろうとしている我々に対して、さり気ないアドバイスを行ったり、時には飲み誘ったり、陰に陽に育て上げようとする気配りを行ってくれていたと思います。
しかもベテラン勢のほとんどが、自分のラインを超えて若手を育てる意識を持っていたと思います。
さらにベテラン勢どころか2〜5年程度の先輩達も、少なくとも自分と相性の良い後輩には目を掛け、何かと育てようという努力をしてくれていたと思います。
ところがバブル時代の急激な採用増は、設計者の水ぶくれ状態を起こして世代間の断絶がまずおきました。
さらにバブル崩壊後に行われたリストラは、水ぶくれした無能な若手を対象にせず、給料の高いベテラン勢を対象にしたためにますます世代間の断絶がおきました。
また、リストラされた多くのベテラン設計者の中には、我が社に取って貴重な固有技術すなわち暗黙知をたくさん持った人たちも多くいました。
今私が部門長の立場になり、躍起になって技術の継承を復活させようとしているのですが、バブル期から現在までの経営層が、場当たり的な経営さえ行っいなければと歯ぎしりの日々です。
そこでお尋ねしたいのですが、可能な限り短期間で失われた弊社の継承技術を復活させる方法はありませんでしょうか。また先生にこの取組へのご支援をお願いできますでしょうか。
<後略>
正確なところはおじゃまさせて頂き、詳しくお話を伺ってからでないと断言はできませんが、貴社ホームページで拝見する範囲の製品なら、皆さんさえ真剣に取り組んで頂けるなら、**さんが期待される短期間になるか否かは疑問ですが、3年もあれば何とかなると思います。恐らく、私が提唱しております「設計思考展開」を活用頂くことで、手間と根気は必要ですが技術の継承を復活することは可能と思います。
但し、復活させたい継承技術や暗黙知を保持している方が、なんらかの形で貴社に存在していることが大前提になりますが。
詳しくは、私の著書「設計者の頭の中を整理する「設計思考展開」入門」をお読み頂きたいのですが、参考に私どもが各所で展開しております、ベテラン設計者のノウハウ(暗黙知)を形式知化する取組のフロー図などを添付致します。