CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

設計思考展開手法はスーパーエンジニアの思考や暗黙知を“見える化”する道具か、そう簡単にこれらを引き出せないと思うのだが・・・


■質問■

<前略>

貴著「設計思考展開」入門を、何とか入手して読ませて頂きました。

お書きになられてあることはごもっともで、スーパーエンジニアの思考や暗黙知を見える化、つまり形式化しましょう。そのためのツールがDPD(設計思考展開)ですよ。そしてDPD(設計思考展開)は設計のどの段階にも適用できますよ。まさにその通りだと思います。

私どももこの思考展開手法を取り入れて、フロントローディング設計の取り組みを成功させたいと考えておりますが、一つ大きな疑問があります。

スーパーエンジニアの頭の中を展開することは、極めて難しい作業なのではないのでしょうか。彼らに、彼らがこれまで行ってきたエンジニアリングのプロセスを、論理立てて誰でも分かる形で残す様に言っても、自分の「技術=商売道具」をあからさまに提供してくれるスーパーエンジニアは少ないと思いますので。

これまで他社で行ってきた「設計思考展開」導入においては、この部分をどのような手段でクリアーしてきたのでしょうか。

<後略>

■回答■

スーパーエンジニアの方々に、闇雲にその固有技術を提供してくれとお願いしても、恐らく誰も提供してくれないでしょう。

これまで私が関わった両手両足を超える製造業において、積極的に自分の持つ固有技術を提供しようとしてくれたのは、それなりのポジション(ただの平取や執行役員ではまず無理)に付かれた方々か、良い思いを持ちながら定年退職をされた方々だけです。

さらに丸投げ的に、エンジニアリングのプロセス=固有技術を提供してくれとお願いしても、頼まれた本人が自分一人でその固有技術を、整理体系化しながら纏め上げるなど、殆ど無理と言っても過言ではないでしょう。なぜなら、自分の持っている暗黙知を自分自身で整理体系化できていない方々が殆どだからです。

一方、自分の持つ商売道具を、隠そうなどと言う卑しい気持ちを持っている方々は、当然たいして価値のない、暗黙知もどきを一生懸命隠したがるでしょう。 当然です。

「設計思考展開」入門をもう一度よくお読み頂きたいのですが、この様な方々からその暗黙知を巧く引き出す方法を、各所に記しているはずです。彼らから、気分良く、満足感を持ってもらいながら、彼らがもてる暗黙知を巧く引き出すお膳立てが、当然必須の取り組みとして必要になります。

一方設計思考展開には、スーパーエンジニアの暗黙知を、引き出す目的も確かにあります。しかしこれは、設計思考展開が果たす役割の内のほんの数(1〜2)割程度の目的としか私は考えておりません。

設計思考展開の主たる目的は以下として、これまで提唱してきております。