CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

設計BOMとマスタBOMの考え方


■質問■

<前略>

私は、この10月から部署移動でBOMに漬かりかけている全くの初心者です。

質問ですが設計BOMとマスタBOMは分けるべきでしょうか?その違いがよく分かりません。色々な書籍を漁っているのですが今一はっきりと理解できません。また、製品別BOMのバージョン管理はどのように行うべきでしょうか?

現在、弊社では新しいBOMを構築中でして、唐突な質問ですいませんが宜しくお願いします。

<後略>

■回答■

私が定義する設計BOMとは、 製品の機能構造を集約した、部品構成の集大成を著わす部品の構成(親子)関係を示した機能構成表です。

ですからこのBOMには、最終製品を一次の親として、それを構成するAssyID SUB-AssyID Part ID(部品番号又は品番、部番、部品コードなど)がその使用個数と共にツリー構造に列記されたBOMを指します。必要に応じて材料記号や重量、加工工程、標準単価若しくは設計見積価格なども記載されます。

あくまでも、試作確認が終わり、量産出図される設計側のアウトプット情報と理解頂いて良いと思います。

設計BOMをこの範囲に止めるのは、よりクリエーティブな仕事を沢山こなしてもらわなければならない設計者達に、余計な仕事をさせない、強い思いに立った考え方です。

一方マスタBOMとは、設計BOMを元に、あらゆる”ものづくり”情報を記載(付記)したBOMです。

生産計画さえ投入すれば、全ての”ものづくり”情報を発信できるBOM情報、すなわち発注BOMが生成できたり、生産BOM(組み立て部品のピッキングリストや組み立て順位票などまで)などが、自動的に生成するための、元になるBOMを指します。

マスタBOMの作成(生成)は、主に事前登録した試作段階でのPDMのチェックイン情報や、その後の生産準備段階での生産側スタッフからの投入された情報から、自動生成されることを前提とします。

設計者にBOM投入の負担をかけないと言う観点からは、必要悪(だから設計BOMからマスターBOMを生成する際にも、可能な限り人手を掛けない仕組み作りが重要)として両者が必要と考えます。

ただし、量産開始後の量産維持設計業務(主にものづくり都合による設計変更業務など)は、”ものづくり”側優先の仕事で構いません。

さらに二つ目のご質問、「製品別BOMのバージョン管理」は、製品別ではなく、部品単位での”設計変更”の処理業務になり、部品一品づつその旧品処置も含め、厳密な変更処置を、マスターBOMに対して行う考え方になります。

これ以上は、私の著書などをご参照ください。