<前略>
お言葉に甘えて、これまで私どもが取り組んできた設計業務改革に関する資料一式をお送り致します。ご一読頂きましてご忌憚の無いご意見を賜れますと幸いです。
<後略>
お送り頂きました貴社「設計業務改革Pr」では、その生産性向上の切り札として、3次元CADを始め、設計業務を支援するCAE他の、IT設計支援ツールに大きな期待をかけておられることを強く感じます。しかしこれらの“道具”は、設計の初期段階で“高い品質”の設計を実現することができて、はじめてその導入効果を得ることが出来る性格の道具です。
一方設計初期段階での“高い品質”の設計は、単に道具を導入しその操作方法をマスターすれば何とかなるような代物ではなく、その道具の導入以前に“質の高い商品開発体制”を確立しておく必要があります。具体的には、私がかねがね提唱しておりますような、フィジビリティースタディーなどを用いた質の高い商品企画、開発仕様追込みです。
このような取組初期段階での、的確な手立てが打たれておらない限り、開発途上で開発仕様変更が頻発することになり、幾ら良い道具を用いても、幾ら設計者達を教育しても、悲惨な結末に終わることは、常々申している通りです。
ところがお送り頂きました貴社の取組資料では、この設計初期段階での、開発仕様追込みの質に対する言及がほとんど無く、これでは幾ら良い道具を用いて、一生懸命設計者達を教育しても、大きな成果は期待できないはずです。
一部にはこれらの問題に気づかれ、その対策手段として取り組んだと思われる、取組の片鱗やその痕跡は、お送り頂きました資料からも読み取れましたが、残念ながらそれらの取組は、自分達の役割範疇ではないと言う、及び腰の対策手段しか講じられておらず、恐らく殆ど効果を出せていないのではないかと思います。
この部分での手抜かりが、貴社におけるこれまで取組の成果を実感できない大きな原因と診ました。