最近始まった話ではないが、この数ヶ月、俗に“設計者向け”と呼ばれる、3次元CADと連動して利用できるCAEツールの活用に関する相談が相次いだ。「CAEを用いて設計初期段階から事前予測を行っているのだが、一向にフロントローディングにならない」などという趣旨の問い合わせだ。
本ホームページでは各所で、“設計者向け”と呼ばれるCAEツールの限界に触れ、警告を発してきたのだが、世の中の意識は、相変わらずの状況のままであるようだ。
一般に、機械製品の設計初期段階では、未だ部品の形状どころか、機械の構造までもが定まらない場合がほとんどだ。しかし対象機械の基本性能や、基本機能をしっかり作り込み、試作以降で問題を起こさない設計を実現するためには、この段階で如何に的確な問題予測と、その潰し込みが行えるかにかかってくる。
そして、この段階でCAEツールを用いたシミュレーションを行うには、未だ単なる骨組み状の機械構造しかないところから、その追い込み作業が求められる。ところがこうした場面で設計者向けCAEツールを適用しようとすると、多くのこれらのツールは、3次元形状が無いと全ての作業を始められないため、ここでまず最初のテクニックが必要になる(強いて言うなら)。
しかし現存する、設計者向けCAEツールの殆どは、これらの解析項目は、その機能には含まれていない。別な本格的なシミュレーションツールを用いるか、これまでどおりのKKD(感と経験と度胸)で行くしかない事になる。