<前略>
弊社では10年ほど前から3D設計にチャレンジして、CADの導入やその操作教育などに取り組んで参りました。その結果、中堅以下の若手設計者やオペレータ達は、問題なく3D CADを操作できる様になり、現在では殆どの設計作業を3Dで行うようになっております。
しかし3D設計という観点で見たときに、設計の責任者という立場からは、その効果に大いに不満があり、3D設計の先駆者であり、大御所の先生に、ご相談を申し上げた次第です。
私が抱いている不満とは、3Dへの移行時に掲げられた目的、目標が設計部門に限って言うと、殆ど実現できていない現状に対してです。
その当初の目的とは、設計品質が大幅に向上でき、その結果、フロントローディングが実現でき、製品品質のダントツ化と、大幅な製品開発費用の削減や開発期間の大幅短縮を実現できることなどです。
しかし導入10年を持って、定量的にその総括を行ったところ、製品品質のダントツ化、大幅な製品開発費用の削減、開発期間の大幅短縮、など何れもその導入前と比べて改善は見ることができず、クレーム費の増大などかえって設計品質が低下しているのではと、疑わざるを得ない結果になってしまいました。
ただし3D移行の効果という意味では、後工程の生産準備や製造工程で大幅な効果を生み、設計部分の不甲斐なさをカバーしても余りある成果を生んでおり、トータルとしては導入成果ありと社内的には評価をされ、ある意味めでたしめでたしと言うことで、総括は終了致しました。
しかし、3D化への過程で設計部門が費やした負担は、馬鹿にならない物で、本来の設計業務を大幅に阻害して参りました。また図面出図までに費やす、図面一枚あたりの所用工数も、2D時代に比べて3割増にもなり、後工程部門の生産性向上分を設計部門の工数で補っているような結果がでております。
このため私の立場では、設計部門に御利益がある3D展開の仕切直しを、導入推進部門に要求していたのですが、導入推進者達は、上記評価を受けて、それで満足という姿勢で、一向に前向きな動きを見せませんでした。
4月の期変りを機会に、これまで3D導入推進を行ってきた主力メンバーを一掃し、設計の質向上やフロントローディングなどに、意識が高いメンバーに入れ替える人事移動を既に済ませており、具体的にどのように進めるかの検討を、新規メンバーと設計幹部を中心にスタートしております。
しかし、具体的に設計の質を高めたり、フロントローディングを実現する3D教育をどのように行えばよいかという話になると、3D門外漢の我々では、どのように進めればよいか、皆目見当が付かず、お問い合わせをさせて頂いた次第です。
先生の豊かなご経験から、効果的な3D設計教育の進め方を、ご指導頂けませんでしょうか。またその際費用と期間はどの程度見ておけばよいのでしょうか。
<後略>
お問い合わせの内容から拝見して、杓子定規の教育マニュアルに従った、一律な教育を想定なされておられないことと、たかが道具のCAD操作を云々しておられないことを、前提にお答え致します。
CADの操作やシミュレーションツールの操作方法は、対象となる設計部署の状況を、充分に酌み込んだ、戦略的な教育カリキュラムをもって、効果的にその成果を得ることができると思います。
しかし、**さんが不満に感じておられる、“製品品質のダントツ化”“大幅な製品開発費用の削減”“開発期間の大幅短縮”などへの取組みは、操作方法では無く、考え方の改革であり、アプローチ方法の改革であるはずです。そしてこれらの改革は、教育カリキュラムを、闇雲に策定して、一律に設計者教育を行なっても、その効果は薄い筈です。
まず必須で求められるのは、目標とする改革改善の実現を、阻害している問題点を、洗いざらい、漏れることなく把握して、その問題点の深刻度合ごとに優先順位を付けて、淡々とその問題点潰しを行って、弛まない取組みです。
これまで私が手がけ、その成果を公表させて頂いている製造業様には、全てこのような愚直とも言えるステップを踏んで頂いて参りました。
逆にこのステップを疎かにすると、間違いなくその取組みは失敗致します。実際に私が関わったケースでも、私の警告を聞き入れて貰えず、取組みが挫折した失敗も経験しております。
これらを踏まえ、貴社の場合には、以下に示すようなステップで、仕切直しを行うことをお勧め致します。
私どもが考える貴社仕切直しご支援(アプローチ)の概要
貴社仕切直しご支援で必要となるおおよその費用(別途詳細見積もりを行わせて頂きます)
ご支援の所用期間(貴社の現状実態により大幅に見直しが必要となる場合があります)