CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

たかが道具でも3次元CADをうまく使えればそれでメリットありと考えて良いのでは・・・いいえ駄目です!




■質問■

<前略>

貴方のホームページを読み、疑問と反論があり問い合わせさせて頂きます。

上記ホームページで、閲覧を許されているページをくまなく読ませて頂きました。そしてその中では各所で「3次元CADに限らず、設計者達の負担になるような、設計支援ITツールの導入は、製品開発や物作り部分の根幹部が、ブラッシュアップされ、企業や事業体トータルとして、大きなメリットを享受できることに結びつかなければ、その導入は、意味・意義を持たない。X社は、この本質的なところを忘れて、たかが道具の置き換えを目的に取り違えてしまったところに失敗の原点がある。」などと、2Dを3Dに置き換え、その操作などをCAD利用者が十分会得でき、設計部門として円滑に運用でき、さらに後工程の製造工程にメリットを生じさせても、製品開発部分に大きな効果をもたらさなければ、導入失敗とのスタンスにおられると思います。

しかし我々は、設計部門の少々の犠牲があっても、その後工程にある製造部門で大きなメリットがあれば、それでよいと言う考え方でこの十数年走って参りました。そして社内から十分評価を得られる状況に至っていると自負しております。

特に直彫金型や加工・組み立て工程のバーチャル検討や見える化は、製造革命と言っても良い成果を生じさせました。また製品開発部分でもラピットプロトタイピング等を駆使することで、試作部品のリードタイム大幅短縮を実現できております。

また設計者への負担ですが、元々2Dの時代から直接CADを操作しない設計者が多かったため、大きな負担にはなっておりません。

これでも我々の3D導入は失敗といえるのでしょうか。

<後略>

■回答■

貴社の文化・現状を全く承知致しませんので、御申告頂いた情報だけでは、3次元CAD導入の成否は何とも言えません。

ただ一般的に言えることは、御申告のような成果が、導入前に比べて期間で半分以下、生産性で倍以上、コストで半分以下の成果が、全社若しくは全事業体として享受できているのであれば、ある程度導入成功といえるでしょう。そして私の診断では「一部には効果が診られる」等という表現でレポートされます。

しかし掛け値なしで成功と言うことでしたら、導入以前に開発した製品の利益平均額に比べて、導入後の開発製品利益を漏れなく10倍増できるような状態になっていないと、私の物差しでは、導入成功とは申しません。

此処で言う製品利益とは、通常用いられる販売額から製造原価や販売費などを引いた粗利だけではなく、その開発に費やした諸費用、生産準備に費やした諸費用などを正確に織り込んだ製品単位の純利益を指します。

恐らく貴社の場合、製品の開発期間、試作評価期間、量産立上げ期間、商品出荷後のクレーム費用などで大幅な成果を見込めていないのではないかと思いますし、CADオペレタ費用や、IT関連費用の大幅増加が生じているのではないでしょうか。もしかしたらクレーム費用などは、かえって増えている現象を引き起こしておりませんか。

一連の私からの情報発信をお読み頂いており重複致しますので、これ以上は深くお答えしませんが、200事業部署を超える状況を具に診てきた私の嗅覚からは、貴社には様々な問題があると感じております。